研究課題/領域番号 |
23792725
|
研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
松澤 有夏 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (30436894)
|
キーワード | せん妄 / せん妄重症化予防 / ケアプログラム / 老人保健施設 |
研究概要 |
介護老人保健施設に入所中のせん妄を発症した高齢者5名に対して「せん妄重症化予防ケアプログラム」を実施した.介入効果を検討するために,以下のデータを収集した.また海外の高齢者施設でせん妄発症者に対してどのように対応しているか,環境提供をしているか視察によって比較検討した. 1.対象者の選定:昨年度より使用している選定基準を用い,C施設のせん妄を発症した高齢者5名を選定した.昨年度データ収集した2名を合わせ,介入群とした.同時にB施設をコントロール群として設け,年齢,性別,認知症の程度をマッチングした7名を選定した. 2.「せん妄重症化予防ケアプログラム」の概要:ケアプログラムは,せん妄重症化予防の核となる5援助[充実した生活を提供する],[安全が得られるように見守る],[落ち着いて過ごすことのできる空間を整える],[不安やニーズに対応し,ストレスの蓄積を回避する],[薬剤使用を相談し,薬効をモニタリングする]を柱とし,核となる5援助を達成するための31対応を具体策とした.具体策は,「安心して落ち着いてもらうためにそばにいる」や「ここ(施設)にいてもよいこと,泊まっていってもよいことを説明する」などである.尚このプログラムは,高齢者の言動や状況に即して,必要となる「具体策」を選択して実施し,複数の「具体策」を併用する場合もある. 3.データ収集の方法と内容:介入期間中は,実施されている援助内容と高齢者の行動を観察し記録した.それに加え,アクチグラフを用いて睡眠覚醒時間を測定した.さらに介入群とコントロール群の身体・認知・感情的機能を把握するために,バーセルインデックス,MMSE, MOSES(高齢者用多元観察尺度)を用い,介入前後で測定した. 4.海外視察:スウェーデンの高齢者施設を訪問し,環境,システム,個々の高齢者への対応を視察することで今後の知見が得られた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
以下の2つの理由から,当初の計画よりも遅れている 1.介入期間:1名の対象者の介入期間は3ヶ月である.1フロアで2名以上の同時介入はケアスタッフの負担が大きいため,1名のみである.介入施設のC施設は2フロアであり,同時に介入を実施できるのは2名である. 2.介入対象者の不足:昨年度に計画が一部変更となり,「せん妄を発症した」高齢者が対象となった.そのため,せん妄発症が対象者の条件となり,該当する対象者が常時存在しない.
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度終了時点で,介入対象者は7名である.あと1~3名の介入対象者数を増やし,データ収集した評価項目を活用して「せん妄重症化予防ケアプログラム」の評価をおこなう.
|
次年度の研究費の使用計画 |
評価と成果発表のための費用が必要である. せん妄重症化予防ケアプログラムの評価と成果発表をおこなう.
|