本研究の目的は、総合病院における認知症看護の質評価指標の開発をすることである。平成23年度にエキスパートを対象にデルファイ調査を用いて質評価指標項目を精選し、70項目を作成した。この質評価指標を使用して、平成24年度に全国の総合病院の病棟看護師に対して、指標項目についての重要性と実施状況について質問紙調査を実施した。本年度は、回収した調査票の分析を行った。WAM-NETに登録されている医療施設から200床以上の一般病床を持つ200施設の看護管理者へ調査の依頼を行い、承諾のあった56施設2092名に調査票を配布した。 調査票の構成は、基本属性、「総合病院における認知症看護の質評価指標(70項目)」について5段階で評価を依頼した。結果は、回収数は833件(回収率40.1%)であった。質評価項目の精選は、各指標項目の平均値・中央値、I-T相関により実施し、削除項目はなかった。因子分析により因子構造を確認し、63項目5因子で構成された。指標項目の妥当性については、因子構造と指標項目の比較により構成概念を確認し、認知症看護の研修参加・不参加の合計得点のt検定から検討を行った。指標項目の信頼性は、Cronbachのα係数により内的整合性を検討した。これらより、「認知機能・BPSDのアセスメント」10項目、「生活行動に関するアセスメント」7項目、「認知症の安定を支える」16項目、「順調な治療過程を支える」18項目、「チームアプローチと介護者支援」12項目の合計63項目からなる質評価指標となった。
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