研究課題/領域番号 |
23792729
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
尾崎 伊都子 名古屋市立大学, 看護学部, 講師 (00347395)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 保健指導 / ウェブサイト / 生活習慣改善 / 労働者 / 介入研究 |
研究実績の概要 |
A企業で定期健診で肥満(BMI25以上)と判定された22~34歳の男性を対象に保健指導プログラム(介入①20名、介入②22名)を実施し、プロセス評価・結果評価から支援方法を検討した。 ウェブサイトには目標設定と自己観察日記、生活習慣に関する情報提供ページ、掲示板を設けた。保健指導は開始時の個別指導(介入①)または集団健康教室(介入②)において改善目標の設定を助言・指導し、その後1・4・8・12週後にウェブ上で助言・指導した。12週後に自記式質問紙により生活習慣等を把握した。その際、介入②では集団健康教育を行い、体重・腹囲測定も実施した。 介入①では途中で退職した1名を除く19名を分析対象とした。ウェブ利用状況は、利用あり群(高・中・低頻度)が6名(32%)、利用なし群(三日坊主・利用なし)が13名(68%)であった。ウェブ利用の関連要因は、利用あり群では利用なし群に比べて年齢が高く、健康管理をできていないと自覚する者が多かった。ウェブ利用者の事例分析の結果、低頻度利用者でも減量につながっていた。 介入②では開始時にBMI25未満に改善していた2名と3か月後の評価ができなかった4名を除く16名を分析対象とした。ウェブ利用状況は、高・中頻度利用群が4名(25%)、低頻度利用群が4名(25%)、利用なし群が8名(50%)であった。開始時から12週後の体重変化は、高・中頻度利用が-1.35(±0.57)kg、低頻度利用群が-0.95(±4.6)kg、利用なし群が-0.5(±0.75)kgであった。 これらの結果から利用頻度が高いほど減量効果が高くなることや、低頻度でも自分のペースでウェブを活用することで減量につながる可能性が示唆された。介入①②ともに利用なし群が多いことから、健康管理状況を適切に振り返り、ウェブを自己管理ツールとして活用できるよう動機づけを高めることが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、作成したウェブサイトを用いて保健指導プログラムを2回実施し、そのプロセス評価・結果評価をもとに、研究目的「①ウェブサイトの利用状況を分析し、利用者の特徴と利用パターンを分析すること」「②健康状態・生活習慣の改善効果を分析すること」ができた。研究目的「③電子掲示板での参加者同士のネットワークの発展過程・構造および行動変容への影響と効果を分析すること」については、今回の介入では参加者の掲示板への参加が少なく分析することができなかったため、今後の介入で分析できるよう、これまでの支援方法を検討し改良していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は別の研究フィールドにおいて、平成26年度までの介入研究の分析結果・課題をもとに保健指導プログラムを改良し、実施していく予定である。具体的には、参加者の生活習慣の改善およびウェブサイトの利用を促す方法について明らかにするため、普段労働者の保健指導に従事している保健師等の専門職にグループインタビューを行い、その結果をもとに保健指導プログラムの改訂版を作成する。そのうえで、保健指導プログラムを労働者に実施し、ウェブサイトの利用状況および生活習慣・健康状態等の改善状況、掲示板におけるネットワーク分析を実施する。研究計画の変更点として、本研究の保健指導プログラムの効果をより厳密に分析するため、無作為割り付けによる保健指導介入を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、産前産後の休暇および育児休業による中断により、2年間延長しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は保健指導プログラムの介入を実施するにあたり、保健指導の実施者およびデータ分析の補助者への謝金、研究対象者への謝礼、ウェブサイトのサーバ使用料・管理費用等に使用する予定である。また、研究成果発表のための学会参加費・旅費の使用も予定している。
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備考 |
保健指導プログラムのため作成したウェブサイト「健康サポートネット」
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