本研究は、自治体の保健師がハイリスクアプローチと連動したポピュレーションアプローチのなかで、生活習慣病予防へ向かう動機づけを地域全体へと発展させていく活動を明らかにすることである。そして、「地域全体へ生活習慣病予防の動機づけを波及する保健師活動プログラムの開発」を目的に取り組んだ。まず、初年度は生活習慣病予防に関する保健師活動の実態や課題について、県下市町村の担当者へ調査し明らかにした。その結果から生活習慣病予防の保健師活動として、企画から実施、評価の一連のプロセスをとおした活動の必要性が明らかとなった。特に、実施計画として、保健事業計画として位置づける、年間計画を策定する、チーム編成をおこなうことといった、組織内での「生活習慣病予防体制づくり」が保健師活動の基盤となることが明らかとなった。次に、文献検討や先行研究から、生活習慣病予防の動機づけを波及する保健師活動の枠組みを作成し、県下市町村保健師を対象に面接調査をおこなった。その結果、住民が「自分の健康を人生のなかで位置づける」、「共に健康づくりをしていく存在との関係性を構築する」、「生活環境と協調しながら自分らしさを獲得していく」ことのできる保健師活動が明らかとなった。そして、これらの保健師活動を生活習慣病予防の企画・実施・評価のプロセスにおいて推進していくことにより、地域全体へと波及効果のある生活習慣病予防が可能となるプログラムを作成した。今後は、このプログラムを普及し、洗練化していくとともに、評価尺度の開発等に取り組んでいく予定である。
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