研究課題/領域番号 |
23792737
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
石川 麻衣 高知県立大学, 看護学部, 講師 (20344971)
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キーワード | 健康増進計画 / 行政保健師 / 健康づくり / ヘルスプロモーション |
研究概要 |
本研究の目的は、行政保健師の健康増進計画推進モデルを開発することである。本年度は、昨年度行った文献調査及び行政保健師へのインタビュー調査をもとに、行政保健師の健康増進計画推進モデル試案を作成した。 試案モデルは、【健康増進計画の進行管理】を基盤に、行政組織内における働きかけとして【保健師活動の再編】と【行政組織全体による健康づくり推進体制の構築】を行い、また一方で一般住民に対して【住民の主体的な健康づくり推進活動の発展支援】を行いながら、これらの活動を基盤に行政・住民・関係組織の【協働の促進】を行い、最終的に自治体全体の【ヘルスプロモーションの促進】を目指すという活動プロセスで構成された。試案モデル作成段階において、適宜地域看護に造詣の深い研究者からの意見を聴取し、これを参考に作成した。 この試案モデルを精錬することを目的に、2市を対象に、健康増進計画推進に携わった経験のある行政保健師に対し、インタビュー調査を実施した。その結果、新たに以下4点の視点を加えることの重要性が明らかになり、これを参考に、モデルを修正した:1.これら活動を展開するにあたり外部からの助言を取り入れていくこと、2.外部から助言を受けられる仕組み・基盤を整備すること、3.保健師が日頃の活動で感じた地区の健康課題と健康増進計画のつながりを常に捉えなおすこと、4.医療機関や議員など、これまで協働・連携が困難だった関係者とつながりをつくる好機として活用し、またできたつながりを活用すること。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目標は、平成23年度に行った調査結果を踏まえ、健康増進計画推進活動試案モデルを作成し、その検証を通じて試案モデルを洗練化することであった。 本年度、モデル思案を作成し、これを検証・洗練化を図っており、本研究は、計画通り順調に進んでいるものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、試案モデルを用いた健康増進計画推進活動の成果調査を実施する。 修正版試案モデルを用いた健康増進計画推進活動の成果からモデルの有用性を検証することを目的に、健康増進計画推進活動を展開している1~2市町村を対象にアクションリサーチを行う。健康増進計画推進活動を担当する行政保健師に対し、試案モデルを説明し、活動に取り組んでもらう。1~2か月毎に10か月間、計画推進活動の進捗状況および保健師の意識と行動を、活動への参加観察及びインタビューにより調査し、活動の成果を抽出する。この調査の結果をもとに、修正版試案モデルの評価と修正を行い、完成版モデルを作成する。 合わせて、昨年度の研究結果を公表し、また研究者や地域看護実践者から広く意見を聴取することで、モデルの洗練を継続して実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度実施したインタビュー調査を近隣市町で実施し、またインタビューデータを研究者自身で反訳した分使用しなかった研究費を、本年度、モデル洗練に向けた遠隔地への情報収集のための旅費として使用する。 【消耗品費】健康増進計画推進活動や研究方法に関する資料・書籍収集に係る経費が必要である。また、文具類や、インタビュー録音と分析のための器具が必要である。 【国内旅費】健康増進計画推進活動の成果調査に係る交通費が必要である。研究成果の公表およびモデルに対する意見を聴取するため、看護系の学会や保健師活動研究会に参加するための旅費が必要である。 【謝金等】インタビュー対象者に対する謝礼品が必要である。 【その他】録音反訳を業者に依頼するための費用、印刷費、複写費、通信費、学会参加費、また学会誌への論文投稿料および研究報告書作成費用が必要である。
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