認知症高齢者のつながり感があると判断できる行動、ないと判断できる行動の参加観察を行った。質的分析を行った結果、つながり感があると判断できる行動は【状況に即した行動】【状況に即した会話】【会話の疎通性】【笑顔】【自身への体の接触】の大カテゴリに分類された。【自身への体の接触】はつながり感が薄れることに対する不安からの自己接触行動と考えられているが、本調査では【自身への体への接触】は自身とのつながりを保ち、不安の軽減にむすびついていると考えられた。つながり感がないと判断できる行動は【状況に即さない行動】【状況に即さない発言】【疎通性のない会話】【不快感を表す表情】【暴力行為】【シャドーイング】の大カテゴリに分類された。これは佐藤の作成した、BPSD分類の一部に一致したが、すべてのBPSDの症状がつながり感には関係していなかった。 つながり感のある行動とない行動を順序尺度とし、作成した尺度とBPSDの重症度と介護負担との関係を観察するため日本語版NPI-NH試験用紙を使用した。つながり感のある行動とない行動が対義語を示す語については反転項目とした。下位尺度を設け、合計点数が37点とし、得点が高いほどつながり感があると判断された。比較した結果、BPSDの重症度(NPI-NH)はつながり感の尺度には関係性は見られなかった。本研究では病院または施設入所中の認知症患者を対象としており、内服によるBPSDへの影響を避けられなかったこと、調査対象となる患者が少なかったこと、NPI-NHを調査者が行ったことが要因と考えられた。
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