研究課題/領域番号 |
23792741
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
川上 勝 自治医科大学, 看護学部, 講師 (50382958)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 安全対策 / 所在把握 / 看護師 / 介護福祉士 / 無線 / 高齢者 / 転倒転落 |
研究概要 |
高齢者施設等での転倒転落事故は利用者のみならず施設やスタッフに多大な影響や損失をもたらす。そこで、様々な転倒転落事故予防策が講じられ、介護看護職員がそれらを実践することで事故を防いでいる。しかしながら、実際に介護看護職員がどのように行動して事故を防いでいるのか、どのような行動をしたときに事故が起きたのかなど、介護看護職員の行動実態を客観的に把握できていないのが現状である そこで、本研究の目的は、高齢者施設の介護看護職員が勤務中にどの部屋にどれだけ居たかを把握するためのシステムを構築することと、そのシステムを活用して介護看護職員が転倒転落リスクの高い高齢者に対してのどのように行動しているかを明らかにして、事故予防策のあり方を検討することである。 本年度は、介護看護職員がどこにどれだけ居たかを把握するためのシステムをできるだけシンプルでかつ低コストで構築するための基本仕様を確立することを目指した。そこで、無線LANに使用されている電波及び関連する既製品を使用することで信頼性を確保しながら、システムの低コスト化が可能かを検証した。実証実験として、無線LANのアクセスポイントを模擬病棟内の個室に設置し、受信装置を身につけた人が模擬病棟内の個室に出入することで、アクセスポイントの電波強度によって所在の確認が可能かを検討した。その結果、部屋毎に設置したアクセスポイントを識別することで受信機の所在が特定できることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、高齢者施設等の介護看護職員の行動実態を把握するためのシステムの基本構成が確立できたことや転倒転落ハイリスクケースの臥床時の体動を記録する装置が準備できたことから、高齢者施設等でのデータ収集に必要な装置は準備できている。 また、研究協力施設の管理者への実証実験に関する説明を行い、内諾を得ている。さらに、実験計画立案に必要な当該施設の構造や勤務体制等に関する情報は把握はできている。今後、実証実験のための機材の確保や倫理審査等の手続を開始することができる。 以上より、ほぼ研究実施計画通りに進められているており、研究全体としてはおおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は高齢者施設における実証実験の実施を目指す。まず、無線通信技術等の専門家によるサポートを得て、実証実験用のデータ収集方法及びデータ分析方法を確立する。同時に、当該施設との調整及び職員への説明を行う。また、研究倫理審査等の手続きを進める。研究協力施設においては、転倒転落ハイリスクケース(以下、ケース)に対して独自に開発したひずみゲージを用いた体動検知パネルを設置している期間、介護看護職員がケースのベッドサイドに行った日時を明らかにする。さらに、ケースの体動状況と介護看護職員のベッドサイドに行った日時との関連を検討する。さらに、位置把握の精度を高めるためのセミアクティブタグシステムを併用することで、実証実験で得られたデータの信頼性を確保する。 実証実験で得られたデータを元に事故予防策の評価や安全システムのあり方について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
・高齢者施設における実証実験に関連する費用 研究協力施設において10日間程度の期間で深夜勤務者が転倒転落のハイリスクケースの居室を訪れた時間を把握する。深夜勤務者は1日2から3名程度、ハイリスクケースの居室数は4室程度とする。この実証実験を実施する上で必要な費用は以下の通りである。 セミアクティブタグ4個(300千円)、センサーユニット5台(400千円)、セミアクティブタグ用ソフトウエア(80千円)、データ分析用PC(90千円)、研究協力費10名×10日間(100千円)、交通費(50千円)、運搬費(30千円)、体動検知パネル製作4枚(50千円)・その他 実証実験でのデータ整理および学会発表に必要な費用は以下の通りである。 学会参加費(50千円)、データ整理3名×2日(30千円)、文房具等(10千円)
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