研究課題/領域番号 |
23792741
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
川上 勝 自治医科大学, 看護学部, 講師 (50382958)
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キーワード | 転倒・転落 / 所在確認 / センサーシステム |
研究概要 |
介護看護の対象者の安全を確保することは、ケアに携わる専門職の重要な責務である。現在、転倒予防策の一つとして、臥床者の起き上がりなどの動きを様々なセンサーなどにより把握できるようになっている。しかし、実際に転倒転落事故を防ぐには、介護看護職員による頻繁な観察など状況に応じたケアに頼らざるをえない状況であり、センサーなどの装置だけでは不十分である。今後、転倒転落事故予防策を総合的に評価するためには、事故発生件数だけでなく、転倒転落ハイリスクケースに対する見守りの実態の把握が必要になると考えられる。 本研究の目的は、無線技術を応用した所在確認システムによって得られた予防策実施時の介護看護職員の位置情報をもとに、各職員の行動から人間中心の安全システムのあり方を検討することである。 昨年度までに小規模高齢者施設における介護看護職員の所在確認システムを試作し、既成品との性能の比較を行った。試作装置は既製品に比べ小型で、廉価であるという特徴がある。模擬施設での試験運用によって収集データの信頼性は確認できた。 今年度は、独自に開発したひずみゲージを用いた体動検知パネルを設置している期間、介護看護職員がケースのベッドサイドに行った日時を明らかにすることを目指した。これらのデータを得ることが出来れば、ケースの体動状況と介護看護職員のベッドサイドに行った日時との関連を検討することが可能となる。 調査対象である高齢者施設でのデータ収集を実施するために、独自に開発したひずみゲージを用いた体動検知パネルをセンサーとして使用する離床把握用のシステムを高齢者施設に設置するための準備を行った。具体的には、これまで使用していた計測・記録装への時計機能や通信機能の実装と、体動検知パネルの電動ベッド対応型への規格変更である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢者施設での介護看護者の所在把握と転倒・転落リスクが高い高齢者の臥床時体動の両方を把握することができるシステムの構築と運用を目指している。これまで、施設内の視察や施設責任者との面接等により、施設の内部構造や部屋の配置、職員の勤務状況など様々な項目を考慮する必要が明らかとなった。検討項目をすべて解決する必要があり、当初の予定である施設スタッフによる転倒・転落ハイリスクケースに対する見守り実態は把握できていない。所在把握システム及び計測・装置の改良や規格変更に時間がかかっているため、研究目的の達成にはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高齢者施設の実情に応じた運用システムを構築するため、体動検知パネルを用いた計測・記録装置と、電動ベッド用体動検知パネルのそれぞれを完成させる。また、所在確認用のシステムとの同期させるための工夫として、施設スタッフの所在データと臥床者の体動データを一元的に収集できるような装置を別途準備して、信頼性の高いデータを確保することで、実際の見守り状況から転倒・転落ハイリスクケースに対する予防策実施や安全システムのあり方を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、主に体動検知パネルによる計測・記録システム及び電動ベッド用体動検知パネルの製作(80千円×3セット)と、高齢者施設におけるデータ収集に関連する費用(60千円:打合せ、装置運搬、協力者への謝礼)として使用する予定である。また、研究成果を公表するための学会参加(20千円)や論文執筆のための経費(20千円)として計上する。
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