研究課題/領域番号 |
23792744
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
羽場 香織 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (90419721)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | がん / 終末期 / 訪問看護師 / 在宅療養移行 / 退院調整 / 看看連携 / チーム医療 / 在宅療養の継続 |
研究概要 |
本研究は、末期がん療養者が病院から在宅に療養場所を移行するにあたり、その後の在宅療養継続の成否に大きく関与しているといわれている在宅移行準備期(訪問看護導入依頼時~療養者の退院までの期間)において、訪問看護師が在宅療養の維持・継続を見越して行っている支援の実態を明らかにすることを目的としている。特に、同じ職種である病院看護師をはじめ、さまざまな関係機関との連絡・調整が短時間のうちに最も濃密に行われる時期といえる在宅移行準備期に焦点をあて、この時期に訪問看護師が行っている実践をインタビュー調査によって明らかにすることは、自宅での生活を望む末期がん療養者の意向を尊重し、継続的な支援を実現するための示唆を得る上で重要であると考える。 初年度である2011年度は、調査対象者に効果的なインタビューを実施するための準備として、末期がん療養者の在宅療養支援に関する先行研究の知見の整理や、3つの学術集会参加により在宅移行支援に関する最新情報の収集・他研究者との意見交換、作成したガイド案について末期がん療養者の訪問看護経験者からの意見収集を通して、インタビューガイドの精錬を行った。更に、本研究に関して所属機関の倫理審査を受け、調査実施に際しての倫理性確保の確認を行った。また、末期がん療養者の在宅移行準備期の支援の経験がある訪問看護師を広く選定するために、学術雑誌・商業誌・インターネット等での末期がん療養者に対する訪問看護実践報告を手掛かりに、調査協力候補者の選定~調査協力依頼、インタビューの依頼を随時行っている最中である。 次年度は、訪問看護師へのインタビュー調査を引き続き行い、訪問看護師が行っている支援内容とともに、末期がん療養者の在宅移行の実現や療養生活継続のために、特に在宅移行準備期に必要だと考えられる支援内容の視点からデータ分析進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査協力を依頼する候補者の選定、ならびに、調査協力者の募集に、当初の予定よりも時間を要しており、2011年度に予定していた人数までインタビューを終了するに至ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2012年度)は、合計15名の訪問看護師へのインタビューを目標に、引き続きデータ収集(調査協力者へのインタビュー調査)および、随時データの分析を進める。 研究の遂行に関して、調査協力者募集の段階を円滑に進めるために、文献やWeb等による実践報告に加え、訪問看護実践者等から、末期がん療養者の支援に力を入れている訪問看護事業所や訪問看護師の紹介を得る方法や、インタビュー対象者からの紹介(スノーサンプリング)による方法などの追加を検討する。 また、研究助成最終年度となるため、報告書の作成・学会等での研究成果の発表の準備を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度は、インタビュー協力候補者の選定を引き続き行い、訪問看護師へのインタビューによるデータ収集を進める。また、インタビュー実施次第、音声データから逐語録を作成し、質的機能的にデータの分析を行う予定である。先に述べたスノーサンプリング法等の併用(「今後の研究の推進方策」の項を参照)により、インタビュー調査の協力を依頼する訪問看護師の選定を円滑に行うことにまずは力をいれ、研究開始当初に目標としている15名程度からのデータ収集を目指す。 また、インタビュー実施と平行して、音声データから逐語録作成を行い、質的帰納的に分析を行う。その際、適宜質的研究の経験がある研究者からのスーパーバイズを受けることで、分析結果の妥当性を担保しながら分析を進める。また、本研究のテーマに関連が深い学会(日本がん看護学会、ほか1ヶ所の予定)への参加により、データ分析ならびに研究結果の考察をより深めるために必要ながん医療・在宅医療に関する最新の知見の収集を行う。 2012年度は研究助成最終年度でもあるため、本研究の報告書の作成、ならびに学会参加により、研究成果の公表に関する準備を行う。
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