研究概要 |
本研究は、末期がん療養者が病院から在宅に療養場所を移行するにあたり、在宅移行準備期に訪問看護師が行っている支援の実際を明らかにすることを目的としている。 2013年度は、2012年度に引き続き、直近1年間に末期がん療養者の支援を行った訪問看護経験5年以上の訪問看護師への半構造化面接調査を行った。最終的に5名の訪問看護師への面接に至った。面接内容を、Bereison,B. の内容分析の手法を参考に、質的帰納的に行った結果、訪問看護師が末期がん療養者の在宅移行準備期に行っている支援は、【療養者・家族との関係構築を開始する】【家族員の関係性を査定する】【療養者と家族双方に在宅での生活に対する思いを確認する】【病棟看護師と積極的に連絡を取り療養者の状態把握に努める】【自宅での生活をイメージして退院までに必要な支援内容を検討する】【在宅移行後も継続する医療処置を安全に実施できる万全の態勢を整える】【病棟看護師と協力して最低限要な介護に関する教育を家族に行う】【苦痛なく在宅で生活する方法を療養者・家族と一緒に考える】【病院主治医と連携して在宅で安楽に生活できる態勢を整える】【緊急時を病院と連携して対応できる方策を整える】【退院までの限られた期間で必要な支援を行える態勢づくりを普段から行い備える】の11のカテゴリーに整理された。以上から、訪問看護師は、末期がん療養者の身体的・病態的特徴をふまえて、療養者・家族(特に介護役割を担う予定の家族員)・病棟主治医・病棟看護師・退院調整部門との連絡調整を短時間で同時進行的に行うことで、療養者・家族が在宅療養を安心して開始し、その後の生活が安全に継続できる環境整備に専心した支援を行っていること、より円滑な在宅移行準備期の支援を可能とする体制づくりを意図しながら日々の訪問看護活動を行っている現状があることが明らかになった。
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