平成23年度から24年度の調査において、術後早期にある高齢の胃切除術後患者には、食事摂取量や内容の自律的調節に関する支援が重要であることが明らかとなった。そこで、平成25年度は、この結果に基づき、山口ら(2006)、鎌倉(2014)が開発した「胃切除術後患者のための自律的食事摂取量調整プログラム」(以下、プログラムとする)の高齢胃がん術後患者への適用について検討した。プログラムでは患者に体重測定・記録・プログラムの判断基準に沿った食事摂取量適否の判断、という行動が求められるため、これらが実施できることが適用の前提条件となるが、多くの高齢者に適用が可能なプログラムであると判断した。 しかし、プログラムでは、入院中に看護師が患者の食事摂取量の判断の正否を毎日フィードバックすることによって正しい判断を強化する必要があるため、看護師によるフィードバックが維持されているかによって、プログラムの効果は変化することが予測された。そこで、平成26年度は、プログラム導入施設において、看護師によるプログラムの遂行状況を質的に明らかにし、プログラムの効果を維持する方策を検討した。その結果、プログラムの食事指導そのものはクリニカルパスに組み込みルーチン化されて確実に実施されていたが、患者が胃の回復に合わせて食事摂取量を判断することを学習するために内包された機能としての、看護師による正誤のフィードバックは実施されていないと判断された。プログラム効果をさらに改善するためには、看護師がフィードバック行動を実施したときに、指導者の承認などの強化子を随伴させるシステムの構築が望まれた。
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