本研究では,高齢者世代が参画する子育て支援活動に焦点をあて,少子高齢社会における地域全体での効果的な子育て支援策の構築と,母親等の子育て世代および高齢者世代双方の健康・QOLへの寄与をめざし,高齢者世代が参画する子育て支援活動が双方の健康へ及ぼす影響について検討することを研究目的とした。初年度は対象地域拡大に向けての事前準備として関連領域の専門家から本課題に関する最新の知見を収集するとともに,新たな対象地域の候補に挙がった地域の専門職から高齢者が参画する子育て支援活動の現状について情報収集を行った。翌年度は関連する地域組織活動のスタッフから,活動の実際や組織の種類からみた特徴,今後の子育て支援活動への展望や課題等についての意見収集を行った。さらに本研究が最終的に目指す地域社会全体での子育て支援策の構築に向けて研究を進める際の根拠を積み重ねるために,子育て世代が子育てしやすいと感じる地域のつながりについて明らかにするために既存データをもとに検討した。その主な結果として,密着度が強すぎるつながりよりは,ややゆるやかなつながりの方が子育てしやすい地域と感じられる可能性が示唆され,気軽に地域住民同士が交流できる場や機会を増やしていくこと,また,そのような地域組織の活動を支援していくことが重要と考えられた。最終年度では高齢者が主体となっている地域組織における子育て支援活動の実践者から自身への効果等について聞きとりを行った。さらにこれらの検討の結果,具体的支援活動の内容を検討するためには,高齢者が参画する地域組織における子育て支援活動についてのさらなる実態把握やその支援体制の現状等の把握が必要と考えられたため,一部計画を変更して関係機関からの情報収集を行い,今後のプログラム開発をめざした研究展開に活かすこととした。
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