I 研究目的:本研究の目的は,脳卒中失語症患者とそのケアにあたる看護師とのケア場面の記述をもとに,「交感」に着目した看護援助モデルを作成することとした. II 用語の定義:「交感」をふたりの人のあいだで,感情,体験,意思などが交わされ,共有されることとした. III 研究デザイン:場面観察に基づくエピソード記述を経て,質的記述的デザインとした. IV 研究参加者:脳卒中失語症患者とそのケアに携わる看護師とした. V 結果:「交感」に着目した仮説的看護援助モデルを,下記のように作成した. 1.先行要件:看護師の先行要件には,「対話に開かれていること」「親しみや好感」「相手を尊重する姿勢」「相手に応じた期待」「ゆっくりとしたペース」「かかわることへの根気強さ」があった.交感を成立させる双方における先行要件には,「身体の活用」「共に時間を過ごすこと」があった. 2.結果:結果には,「遊びが生まれること」「身体のレベルでお互いを了解しつくしている美しさをもったまとまり」「同調をつくりだすペース・リズム・スタイル」があった. 3.期待される成果:期待される成果には,「患者の生き生きとした感情の発露」があった. VI 残された課題:「交感」に着目した仮説的看護援助モデルを用いた看護実践について,データ収集し,「交感」に着目した仮説的看護援助モデルを洗練させることである.それにより,「交感」の実践知を明示することである.
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