研究概要 |
本研究は、乳幼児を育児中の世帯のワーク・ライフ・バランスを職場と家庭ではなく視野を広げて地域の問題としてとらえて実態調査を行うことを目的としている。実態調査を実施するに当たり、平成23年度は質問紙の作成を行った。まず、Kinnunenらが作成した英語版調査票のうち仕事から家庭、家庭から仕事のポジティブ・ネガティブスピルオーバーの4下位概念14項目で構成されたもの(Kinnunen U, et al.: Scandinavian Journal of Psychology,47,149-162,2006)と、福丸の3因子18項目で構成された仕事役割と家庭役割間のスピルオーバー尺度(福丸由佳.家族心理学研究,14(2),151-162,2000)を参考に、日本語版ワーク・ファミリー・スピルオーバー尺度を作成した。その他、社会関連指標(安梅勅江. 社会福祉学,36(2),59-73,1995)や、ワーク・ファミリー・コンフリクト対処行動(加藤容子ら.心理学研究,76(6),511-518,2006)、精神的健康状態(K6)、睡眠状況を測る指標(アテネ不眠尺度)などを取り入れた質問紙を作成した。尺度の使用にあたり、著作者の許諾を得た。現在、質問紙調査実施に向けて倫理審査申請中である。また、乳幼児を育児中の労働者にインタビュー調査をするため、北九州市男女共同参画センターに協力を得て、座談会の開催を計画している。これらの質問紙調査とインタビュー調査により、乳幼児を育児中の労働者の現状と課題を明らかにし、育児を担う共働き夫婦が良好な健康状態を保持しつつ、より高い就労・育児意欲を実現するための関係組織による支援のあり方を考察する。
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