研究課題/領域番号 |
23792762
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研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
井上 高博 活水女子大学, 看護学部, 助教 (10382277)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 要支援高齢者 / 生活機能 / ケアマネジメント |
研究概要 |
当該研究の目的は、要支援高齢者の生活機能の向上を目指したプロセス評価指標の開発である。 当該年度の研究計画としては、1)要支援高齢者の生活機能の実態解明、2)-(1)要支援高齢者の生活機能が向上したケアマネジメント事例の解明、2)‐(2)要支援高齢者の生活機能が悪化したケアマネジメント事例の解明を予定していた。 調査対象者は要支援1及び2高齢者(計17名)とA市地域包括支援センターの専門職者20名に聞き取り調査を実施した。 その結果、1)については日常生活行為は殆ど自立しているものの、手段的日常生活動作には一部介助が必要である高齢者が多かった。また日中は殆ど自宅で過ごしており、趣味の編み物からTV鑑賞、庭の草むしり等、その生活行為は実に多様であった。さらには生活機能が低下しないようにとの思いから、自発的に近所までの散歩や庭いじり、新聞を読むことなどを積極的に行われていることも判明した。そして夜間の排泄については、尿意を感じて覚醒し、自立して排尿できると話された高齢者も数名おられた。 一方、2)‐1については、要支援高齢者自らが生活機能を高めていく目的や生きがいを見出し、積極的に活動していることが明らかとなった。2)-2については、疾患の進行及び増悪による影響や居住環境の変化、家族間の介護体制の欠如などが要因となっていることが示された。 さらに質的分析を進めていくことにより、要支援高齢者の生活機能を高める評価指標が抽出できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度における調査対象者は地域包括支援センターの専門職者20名と要支援高齢者17名であった。そのうち、要支援高齢者17名との調査日程の個別的な調整が難しく、本年度の研究計画が4月まで延長したことの影響にあると考えている。 調査日程の調整が難しかった理由としては、1)要支援高齢者が週数回利用する介護予防サービス(通所介護、通所リハビリ等)利用日は調査しないこと、2)要支援高齢者への調査は、当該高齢者宅に訪問し、聞き取り調査を実施するため必ずA市地域包括支援センターの専門職者との同行訪問であること、3)調査日程の調整は、全てA市地域包括支援センターに委任したなどの制約およびその影響が挙げられる。 そのため調査期間が延長し、データ収集に時間を要した。さらには、その後の質的分析が十分に検討されていない点もあることから、やや詳細な質的分析が遅れいていると区分した。しかし、研究のエキスパートである教授らの技術的アドバイスを受けることができるため、研究の遅れを取り戻すことができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力機関であるA市地域包括支援センターとの信頼関係は構築されているため、次年度の研究計画である要支援高齢者の生活機能の向上に即したプロセス評価指標の開発においても遂行できると考えている。 その理由として、研究対象者である当該地域包括支援センターの専門職者は、本研究の結果を介護予防事業に十分に反映できると考えており、本年度の調査協力においても大変積極的に調査日程を調整され、できる限りの調査協力を頂いていた。 さらに今後は、プロセス評価指標の開発を進めていくことから、当該地域包括支援センターの専門職者にとっては、より具体的な自立支援の方向性を知ることに繋がっていくため、本研究の協力体制は今よりも強固なものになり、本研究を推進できうると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な使用計画は、統計解析ソフトウェアといった物品購入や研究協力者への謝礼のほか、当該研究の結果を公表するための学会発表のための旅費及び投稿論文費用や会議費用などの経費を予定している。
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