当該年度の研究計画では、要支援高齢者の生活機能向上を目指したプロセス評価指標の開発を予定していた。前年度にA市地域包括支援センターの専門職20名に行った聞き取り調査データと要支援高齢者17名(男性8名、女性9名)に行った聞き取り調査データをテキストマイニングの手法に則り、分析を行った。具体的な分析の視点としては、要支援高齢者の起床時から就寝時までにおける日常生活動作および手段的日常生活動作の状況とした。その分析結果から、起床時間、立ち上がり、室内移動、朝食の準備、口腔ケア状況、1日の主な過ごし方、活動範囲、屋外移動方法、他者との交流頻度、昼食状況、家にいる時間、夕食状況、寝床の準備、就寝時間などが抽出された。生活機能の状態については、不良な状態から良好な状態となりうるように聞き取り調査データを振り返りながら、順序尺度として評価指標を老年看護領域からのスーパーバイズを受けながら設定した。その結果、要支援高齢者のプロセス評価指標(仮)を作成した。その後、長崎県下13市町にある地域包括支援センターの協力のもと、要支援高齢者1116名に対し、プロセス評価指標(仮)の調査を実施した。介護予防基本チェックリストとの関連性が示されたことから、有用性の高い評価指標であることが示された。本研究の意義としては、本プロセス評価表を現場の介護予防事業などで活用することにより、介護予防基本チェックリストの介護予防プログラム6領域別得点の実状を知り得るとともに、生活機能の改善に向けたケアマネジメントへとつながる方向性が示されたことである。
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