研究課題/領域番号 |
23792763
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
上野 里絵 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (20598677)
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キーワード | 国際情報交換 / アメリカ / フィンランド |
研究概要 |
平成24年度に行った情報収集およびSolantaus博士(Beardslee博士の介入プログラムをいち早く取り入れたフィンランドの児童精神科医、研究者)、Beardslee博士の共同研究者とのディスカッション等の結果、Beardslee博士の介入プログラムの日本への適用として、まず、Solantaus博士らが作成した精神疾患を有する親の子どもへの支援に向けたガイドブック2冊を日本語に翻訳することを決定した。 日本では、精神疾患を有する親の子どもへの支援は重要とする認識の一方で、適切な支援内容や方法が確立されていないため、このブックレットを日本語に翻訳することは、精神疾患を有する親やその子どもに関わる専門家が、特別な教育や研修を受けなくても、このような対象者を支援する際に、活用可能なツールの一つとしての有用性が高い。 また、精神疾患を有する親と子どもそれぞれに向けられたこのブックレットを、親と子どもが手にすることで、困った時、悩んだ時等、必要な時に、いつでも、何度でも見直したり、必要な情報を得るなど、親と子ども自身に合った用い方ができる。 以上より、精神疾患を有する親と子どもおよび、このような人々を支援する専門家双方が、手軽に利用でき、かつ多様な活用法の可能性を有するこのようなブックレットは、日本において、これまで作成されていないため、現在行っているこのブックレットの日本語への翻訳の意義及び重要性は、非常に高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
情報収集等の結果、Beardslee博士の介入プログラムを日本の精神医療や実態を踏まえ、日本に受け入れられる形で、適用するための検討時間に多少の時間を要した。しかし、最終的には、Solantaus博士のブックレットを入手でき、これを用いて、Beardslee博士の介入プログラムの日本への適用について具体的に検討までに至ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究活動のエフォートを、最低70%とし、研究活動に専念する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の残額の理由は、前述の通り、本研究は、確実に進んでいるが、Beardslee博士の介入プログラムを日本の精神医療や実態を踏まえ、日本に受け入れられる形で、適用するための検討時間に多少の時間を要してしまったため、平成24年度で実施する予定であった研究がやや遅れ、十分に達成できなかったためである。 平成25年度の研究費の使用計画は、Solantaus博士が作成した精神疾患を有する親の子どもを支援するための2冊のブックレットの日本語版の開発および日本への適用可能性の検討にかかるも費用が主たるものである。具体的には、2冊のブックレットの翻訳、校閲、高度な知識提供等に対する研究協力者への謝礼金。ブックレットの日本における実用可能性や活用方法に関する検討として、医療機関等へ質問紙等を用いた全国的な調査にかかる研究費として、ブックレットの印刷や製本、研究協力への謝礼金、研究代表者の出張費等に使用する。また、ホームページを作成し、本研究の情報公開等を行う。本研究に関する情報交換やディスカッション、情報収集、最新の知識を得る等を目的とした学会発表や研修等への参加に研究費を使用する。ブックレットの日本語版の完成にあたり、Solantaus博士からの助言得たりやディスカッションを行うのみならず、本研究に関する将来的ビジョンを視野に入れた取り組みについての意見交換等を、Solantaus博士と直接行うため、精神疾患を有する親の子どもへの支援に関して先駆的活動を行っているフィンランドの視察を行う。
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