研究課題
前年度までの研究で,全域木混雑度問題の計算理論的難しさ及び易しさが分かってきたため,最終年度となる今年度においては,全域木混雑度問題の困難性に対処するための精度保証付き近似アルゴリズムや,(精度保証のない)発見的手法に基づくアルゴリズムの研究を行った.まず,発見的手法に基づくアルゴリズムとしては,深さ優先探索全域木がランダム全域木と比べて低い混雑度を持つことが多いことを確認した.また,2次元グリッドや高次元ハイパーキューブなど,全域木混雑度の値または全域木混雑度の漸近的な値が分かっているグラフに対して,深さ優先探索全域木がある程度の近似率を達成することを確認した.次に,焼きなまし法,遺伝的アルゴリズム,タブーサーチ法などのメタヒューリスティクスおよびそれらの組合せを使い,さらなる解の改善ができるか実験を行った.結果として,焼きなまし法とタブーサーチ法の有効性を確認したが,ハイパーキューブなどに適用した場合,知られている最適解の上界との差を劇的に改善するまでには至らなかった.これらの結果から,より良い解を得るためには汎用的な手法だけでは不十分で,全域木混雑度問題特有の性質をうまく使った手法が必要であると考えられる.次に,精度保証のある近似アルゴリズム開発についてであるが,二つの部分的な結果を得た.一つ目は平面グラフに対する近似で,頂点数の対数に比例する近似率を達成した.もう一つは,一般のグラフに対して頂点数に比例する近似率が簡単に達成できることを示した.どちらも十分に良い近似率ではないため,今後の改善が必要である.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Discrete Applied Mathematics
DOI:10.1016/j.dam.2012.11.015
Discrete Mathematics
巻: 312 ページ: 3164-3173
Discrete Mathematics & Theoretical Computer Science
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Discussiones Mathematicae Graph Theory
10.7151/dmgt.1682