研究課題/領域番号 |
23800017
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小谷野 賢治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (90613315)
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キーワード | MRI / 皮質層構造 / 電気生理 / 連合記憶 / 高次認知機能 / 霊長類 / エルジロイ / 微小電極 |
研究概要 |
本研究では、視覚性連合記憶に関する大脳皮質層構造の機能分化を調べることで、その情報処理過程を解明することを目的としている。当該年度においては、1頭目の動物からのデータ収集を完了した。また、もう1頭の動物に関してもデータ収集のための準備を完了しようとしている。 まず、申請時において片側の大脳半球から既にデータ収集の一部を開始していた1頭を用い、引き続き皮質層構造の機能分化に関するデータの収集を行った。具体的には、視覚性連合記憶課題を遂行中の動物の下部側頭葉から、MRI対応小型マニピュレータを用い、留置微小電極により単一神経活動を記録した。毎回の記録後に留置した電極先端の位置を高磁場MRIにより同定することで、大脳皮質内における単一神経活動の記録部位を決定した。このような手法により、両側の大脳半球から計350以上の単一神経細胞活動の分布を詳細にマッピングし、下部側頭葉における連合記憶に関する皮質層構造の機能分化を調べた。特に、課題で提示された視覚刺激に対する反応性と記憶に関連する活動ついて注目し解析したところ、活動パターンと大脳皮質内での位置の間に特徴的な関係がみられた。 一方、上記実験と並行して、もう1頭の動物のデータ収集準備を行った。頭部を固定した姿勢で課題を遂行させる訓練を行い、頭部固定に慣れた後、電気生理記録用チェンバを外科的に設置した。現在、微小電極を用いて課題遂行中の単一神経活動を記録し、課題に関連した活動を示す神経細胞のクラスター位置を同定している。次年度において、この2頭目の動物においても1頭目で見られたような特徴的な分布が再現するかどうかを検討する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1頭目の動物に関するデータ収集を行い、連合記憶に関連した神経活動と大脳皮質内での分布に特徴的な関係があることを示唆する結果を得たため。このことは本研究課題の目的である「連合記憶に関連した大脳皮質層構造の機能分化の解明」へ直結していくと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1頭目において得られたデータが、他個体においても再現するかを確認するため、今後は2頭目におけるデータ収集に注力する予定である。
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