研究概要 |
本研究は、我々が調査で継続使用してきた質問項目と、米国を代表するMonitoring the Future study(MTF)の日本語訳の質問項目との関連性を検証し、日本の青少年における薬物乱用に関連する質問項目の国際比較可能性を向上させること目的とする。 本年度は、2012年1月から3月に実施した高校2年生を対象とした2種類の質問紙調査について、データ入力を行い、調査データの整理を完了し、データを確定した。結果的に、我々が継続使用してきた質問項目に基づいた調査Aの有効回収標本は731であり、MTF調査の日本語版に基づいた調査Bの有効回収標本は1,462であった。そして、調査データの分析に入り、2種類の調査データについて、それぞれ単純集計をまとめ、協力機関への報告を行った。さらに、我々が実施してきた過去の大規模調査データと本調査との関連を確認するために、過去の高校生調査データを用いて、本研究で扱った質問項目と一致する項目と薬物乱用との関連性を検証した。その中から、高校生の薬物乱用と最も高い関連性を示したのが、「アルバイト時間」であった。これらの結果を踏まえ、本研究の調査データを分析した。調査Bにおける高校2年生の「アルバイト時間」に関する成果は、大会で発表され、論文にまとめられ現在投稿中である。成果として、高校2年生のアルバイト時間には男女差が認められ、男子よりも女子の方がアルバイトをしている生徒が多かった。そして、アルバイト時間は、所得、4年制大学卒業の志望、クラブ活動への参加、授業をサボった頻度、居酒屋などへ行く頻度と相対的に高い関連性を示した。 今後の予定としては、本研究の調査データの分析を進め、薬物乱用に対する評価項目の有効性をより深く検証したうえで、高い有効性を示した質問項目を、青少年の薬物乱用に関する大規模な疫学的調査の質問項目に加えていく予定である。
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