研究概要 |
本研究では,実環境でのフォーメーション走行機能を実現するため,「(i)環境情報の構築」および「(ii)環境の不確かさを考慮したロバストな制御系設計」の2項目に着目し研究を進めている.平成23年度の研究では,特に,「(ii)不確かさを考慮したロバストな制御系の設計」に主に着目し,フォーメーション制御系の設計を行った. 具体的には,移動ロボットが走行する環境の地図情報があらかじめ与えられているという条件のもと,複数の移動ロボットをフォーメーション走行させる制御問題を取り扱った.取り扱った制御問題においては,それぞれの移動ロボットが,与えられた地図情報と搭載した距離センサ情報を用い,パーティクルフィルタに基づいた自己位置推定手法により自己位置を推定するものとした.したがって,それぞれの移動ロボットが推定した自己位置には不確かさが含まれるため,これまで提案したフォーメーション制御系では衝突回避およびフォーメーションの収束性が保証されないという問題があった. そこで,位置推定に含まれる誤差を陽に考慮し,その誤差に対してロバストなフォーメーション制御系を設計し,その解決を図った.提案したフォーメーション制御系では,自己位置推定に誤差が含まれる場合でも,誤差が一定以内に抑えられる場合には,移動ロボット同士が衝突することなく目標のフォーメーションを形成できることを理論的に示した.また,シミュレーションにより,その有効性を示した.さらに,4台の移動ロボットを用いた実機実験も行い,提案した制御系の妥当性の検証も行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究テーマは「(i)環境情報の構築」および「(ii)環境の不確かさを考慮したロバストな制御系設計」の2項目に着目し研究を進めるものである.平成23年度においては,項目(i)については未着手であり課題が残されている.また,考慮した不確かさは自己位置に含まれるもののみであり,項目(ii)についても課題が残されている.したがって,達成度として上記に記載した程度と判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度はまず項目(i)について研究を行い,その後,環境地図の不確かさにもロバストとなるように平成23年度に提案した制御手法の拡張を行う方針を取る.このようにして,環境地図・自己位置の不確かさに対してロバストなフォーメーション制御系の設計を行っていく.また,平成23年度に達成された成果についても論文発表等を行っていくなど成果公表も積極的に行っていく.
|