研究課題
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酸素(O_2)は、好気性生物においてエネルギー産生源として必要不可欠であるが、同時に毒性をも示す。そのため、生体には呼吸活動を介して外界O_2の取り込みを厳密に制御するシステムが備わっている。しかし、生体内O_2センサーの分子実体は未だ明らかにされていない。申請者らはtransient receptor potential (TRP)チャネルの酸化感受性を網羅的に評価した結果、TRPA1チャネルが極めて高い酸化感受性を示すことを明らかにし、また比較的穏やかな酸化剤であるO_2によって活性化することを見出した。興味深いことに、TRPA1のO_2に対する容量反応曲線は逆ベル型を示しており、高O_2および低O_2刺激によって活性化する。高O_2によるTRPA1の活性化にはシステイン残基の酸化が重要であり、また低O_2による活性化にはプロリン水酸化酵素の阻害が関与する。Trpa1遺伝子欠損マウスを用いた実験により、本マウスでは高O_2ガスおよび低O_2ガス吸入に伴う呼吸反射が抑制されており、その結果として高O_2障害である急性肺障害や低O_2障害である肺高血圧症がさらに悪化した。このように、TRPA1は生体内O_2センサーとして機能し、体内に取り込むO_2供給量を調節していることが明らかになった。
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