研究課題
研究目的: 従来、癌幹細胞を標的化することにより癌の根治が可能であると考えられてきた。しかし、癌幹細胞が生み出す細胞学的多様性、癌幹細胞への再移行現象、癌幹細胞自身の特性と周囲環境が絡み合って形成された治療抵抗性メカニズムを考慮すると、一過的な癌幹細胞を標的とした治療法では癌の根治は難しいと考えられる。意義と重要性:癌幹細胞が産生する分泌型microRNAを介した情報ネットワークに注目し、その機能とターゲットを明らかにすることは、癌幹細胞を中心とした癌社会の維持に必須となっている情報伝達経路を解明することにつながり、さらにその制御を行うことにより癌幹細胞を中心とした社会構築を破綻させるという、革新的な癌幹細胞包括的治療法の開発につながると考えられる。研究成果: 肝臓癌において、網羅的マイクロRNA解析を行い、癌幹細胞が血管新生とヒストンの脱メチル化を行う特徴的なマイクロRNAを発現していることを同定した。現在、泌型マイクロRNAのデーターベースとの複合的解析を行っている。一方、大腸癌において、従来報告されている大腸癌幹細胞マーカーであるALDHに代わる新規癌幹細胞マーカーを同定した。この細胞集団では、非癌幹細胞と比べると特徴的な代謝機序が働いることが明らかとなった。さらに、この機構を制御する遺伝子およびマイクロRNAを同定した。さらに、これらの因子が周囲環境の代謝機構を変化させる可能性について見出し、解析を進めている。爆
2: おおむね順調に進展している
肝臓癌におけるマイクロRNAの網羅的解析より、癌幹細胞が血管新生とピストンの脱メチル化を行う特徴的なマイクロRNAを発現していることを同定した。現在、分泌型マイクロRNAのデータベースと組み合わせることにより、情報伝達をつかさどるマイクロRNA群の同定と、その標的遺伝子、機能について検索を行っている。
肝臓癌の臨床検体はマウスに生着させるのが困難であり、解析が細胞株だけでの検討になることが危惧される。そこで、大腸癌を標的に、新規の癌幹細胞マーカーを同定し、この遺伝子発現データとマイクロRNAデータを取得した。大腸癌の場合は、臨床検体からの解析、マウス生着も可能であり、標的分子を用いたマウス治療モデルの確率も可能である。そこで、確実な研究推進と革新性を追求すべく、研究提案した癌腫を大腸癌に置き換えた検討も行っている。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/gesurg/study/index.html