研究課題/領域番号 |
23800043
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
玉田 耕治 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00615841)
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キーワード | 腫瘍免疫学 / 免疫共シグナル分子 / BTLA / HVEM |
研究概要 |
本研究は、抑制性の免疫共シグナル分子であるBTLA(B and T LyInphocyte Attenuator)の機能をコントロールすることにより抗腫瘍免疫反応を誘導し、効果的な癌免疫療法を開発することを目的としている。本年度は、BTLAへの抑制性共シグナルを阻害し、さらにBTLAのリガンドであるHVEM(Hefpesvirus Entry Mediator)に刺激性の共シグナルを伝達するコンパウンドとして、BTLAの細胞外領域と免疫グロブリンの定常部を融合したBTLA-Fc蛋白を作製し、その免疫制御機能を解析した。BTLA-Fc蛋白は、遺伝子導入により作製した高発現細胞株を大量培養し、その培養上清からアフィニティーカラムを用いて精製した。精製したBTLA-Fc蛋白がHVEMに結合し、HVEM-BTLAの相互作用を阻害することはフローサイトメトリーにて検証された。BTLA-Fc蛋白は、抗CD3抗体を用いたin vitroのTリンパ球刺激培養アッセイにて、Tリンパ球の細胞分裂を促進するととが確認された。以上の研究より、BTLA-Fc蛋白はBTLAとHVEMの共シグナル機能を制御することにより、Tリンパ球の活性化を介した免疫刺激作用を有することが判明した。今後の研究においては、腫瘍を接種したマウスモデルにおいてBTLA-Fc蛋白が抗腫瘍免疫反応を誘導し、腫瘍の退縮効果を示すことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目的である、BTLA-Fc蛋白産生株の樹立、BTLA-Fc蛋白の精製、そしてin vitroのアッセイを用いたBTLA-Fc蛋白の機能解析は達成された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、BTLA-Fc蛋白の抗腫瘍免疫反応における増強作用、および癌の退縮効果について、in vivoの担癌マウスモデルを用いて検討する。
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