研究課題
前年度までに、ポリエチレングリコールを介して肝臓ガン標的ペプチド(SP94)を化学修飾したナノカプセル(Hsp-PEG-SP94、論文受理済)と遺伝子組換えによりSP94を修飾したHspG41C-SP94(未報告)の二種を作製した。本年度は、HspG41C-SP94の細胞およびモデル動物での評価を行った。HspG41C-SP94はラット正常肝臓細胞には全く取り込まれなかったが、ヒト肝臓ガン細胞にはよく取り込まれた。一方、HspG41C-SP94のヒト肝臓ガン細胞への取込みは、SP94ペプチド共存下では強く阻害を受けたことから、HspG41C-SP94はヒト肝臓ガン細胞表面の何らかの分子を認識し、受容体依存的に取り込まれていると推察された。また、ヒト肝臓ガン細胞由来Huh-7細胞を移植したヌードマウスに全身投与後、蛍光イメージング装置によりその動態を経時的に評価したところ、HspG41C-SP94はごく少量であったがガン組織への蓄積が認められた。本ナノカプセルのドラッグキャリアーへの展開を考え、種々のガンに対し抗癌作用が認められているドキソルビシン(DOX)修飾ナノカプセルを作製した。DOXにヒドラゾン結合(酸により加水分解される)を介してマレイミド基が修飾されたDOX-Malを新たに合成した。DOX-Malを遺伝子組換えみより変異導入したHspG41C-SP94のシステイン残基にマイケル付加反応により修飾したHspG41C-SP94-DOXを作製した。コントロールとして肝臓ガン選択性を持たないHspG41C-DOXも同様に作製した(論文報告済)。と比較してHspG41C-SP94はラット正常肝臓細胞に対する細胞障害性が10倍程度減少した。一方、ヒト肝臓ガン細胞に対する細胞障害性は両者で同等であった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 図書 (1件)
International Journal of Nanomedicine
巻: 8 ページ: 1989-1999
dx.doi.org/10.2147/IJN.S40239
Chemical Communications
巻: 49 ページ: 5592-5594
10.1039/C3CC41680A
Journal of Controlled Release
巻: 161 ページ: 713-721
DOI:10.1016/j.jconrel.2012.05.001
Analytical Biochemistry
巻: 424 ページ: 130-136
10.1016/j.ab.2012.01.036
巻: 7 ページ: 4353-4362
dx.doi.org/10.214/IJN.S31365
Bioconjugate Chemistry
巻: 23 ページ: 1494-1501
dx.doi.org/10.1021/bc300015f
Biotechnology Advances
巻: 30 ページ: 1662-1672
10.1010/j.biotechadv.2012.07.004
Journal of American Chemical Society
巻: 134 ページ: 15410-15417
dx.doi.org/10.1021/ja305437n