研究概要 |
平成23年度には,本学の研究倫理審査の承認を得(承認番号:第E11HS-003号),東京都や神奈川県,福岡県,佐賀県の訪問看護ステーション等の脳卒中障害高齢者等を対象とした地域支援を行っている事業所に文書にて研究協力を求めた.事業所から利用者である自宅生活している男性脳卒中障害高齢者に研究協力の文書を渡してもらい,研究に協力する場合には利用者が研究者に参加確認書を返信するように依頼した.その結果,計8名より返信がありインタビューを行った. 研究協力者8名のうち3名が福岡県と佐賀県在住の協力者であった.多くが妻との2人暮らしであったが,独居生活をしているものが1名いた.仕事を引退し高齢になってから脳卒中となっている人がほとんどであるが,若いときに脳卒中となり障害の影響で仕事に従事できなくなったというものが1名いた.また,脳卒中友の会の会長を歴任し事業を開始するほど活動的に生活している人もいれば,ほとんど外出する機会もなく自宅に閉じこもっている人もいた.このように,幅広い生活状況の人々に協力を得ることができている. インタビュー内容を逐語化し,分析を進めているところであるが,自分にとって重要であることや興味のあることを理解し,障害があろうともそのような活動に従事できている対象者は,比較的前向きに生活しており,逆にそのような活動に従事できていない人は少しずつ体力も低下し活動範囲も狭くなるという悪循環が起きている印象を受ける.今後も対象者を増やし分析を進めていくが,脳卒中障害高齢者がどのように生活へ適応していくのかというプロセスが明らかとなれば,支援者や脳卒中障害高齢者である当事者も,上述のような悪循環を未然に防ぐことができると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画段階ではエフォート25%としていたが,学内業務の多忙によりエフォートを10%程度しかかけられていないことと,東京都や神奈川県,福岡県,佐賀県の地域支援を行っている事業所に研究協力を求めたが,協力すると回答した事業所が予想よりも遥かに下回っていることが原因と考える.
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今後の研究の推進方策 |
対象者を紹介してもらえる事業所が少ないことから,対象者の人数を削減し,1人の対象者に対するインタビュー回数を増やすこととする.研究1では男性脳卒中障害高齢者40名としていたものを20名とし,研究2で実施する予定である女性脳卒中障害高齢者40名としていたものを20名に変更する.また,訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所だけではなく,訪問マッサージ等個人事業を行っているところにも研究を依頼することとする. その上で,平成24年度は研究1の対象者を増やしインタビューを実施し,質的に分析することを早急に進めるとともに,「研究2:地域生活する女性脳卒中障害高齢者の生活適応モデルの構築」に取りかかる.
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