目的:脳卒中障害高齢者は自宅に戻った後、どのように生活に適応していくかということを理解する。 方法:対象者; 関東近県の男性16名(平均年齢74.2歳)、女性13名(平均年齢68.5歳)である。調査方法;対象者の自宅、または対象者が指定した場所で、半構成的インタビューを実施した。インタビュー内容は録音し、逐語化したものをデータとして使用した。分析方法;修正版グラウンデッドセオリーアプローチを使用し、分析テーマを「脳卒中障害高齢者がどのように日々の生活を構築し、前向きに人生を捉えるのか」とし、分析焦点者を「前向きに人生を捉え活動的に生活している脳卒中障害高齢者」として、得られたデータを理論的サンプリングし、質的に分析した。 結果:カテゴリーは1「負に捕われる時期」、2「広がり」、3「脳卒中後の変化」、4「自己像の不変」、5「生きる意味の探求」が導かれた。1はできないことに目が行き、疎外感がある時期である。2では、些細なことが徐々にできるようになり、行動範囲が広がり、関係性も広がっていった。対象者自身が周囲の助けを得ながらも試行錯誤し、挑戦し、社会参加していく時期である。3と4は、自己像は変化していないものの脳卒中を機に考え方等の変化があり、2の経過と相互に影響しあいながら形成されていくと考えられる。1~4の過程には常に5が並行してあり、初期の「なぜ」という問いからその意味が見え始め少しずつ変化し「人生に満足する」へと経過していった。 意義:対象者の語りの中に医療や介護保健サービスの支援はほとんどなく、自身で試行錯誤し家族や友人等の助けを得て人生を満足できるものにしていることである。支援者は、彼らのこの潜在する能力をエンパワメントすることが重要である。また、この結果は、これまで死の受容過程を参考に考案された脳卒中障害者の障害受容過程を再考するものと考える。
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