研究課題/領域番号 |
23800065
|
研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
松井 宗也 南山大学, 経営学部, 准教授 (70449031)
|
キーワード | ポアソンクラスターモデル / 損害保険数理 / クレーム予測 / ポアソン過程 / 点過程 |
研究概要 |
当該年度の研究目的の1つは、ポアソン・クラスターモデルに関して「(1)拡張されたクレームの同時到着を許すモデルの性質を明らかにする。特に統計量(期待値、分散、条件付き確率、特性関数等)の解析的表現が得られないか考える。次に最も重要な予測量と予測誤差を測る基準を導出し、その解析的表が得られないか考える。万が一表現が得られなかった場合は、シミュレーションの負荷を抑えるような工夫を考え、効率的に数値解を求める方法を構築する。」であった。 これは、災害や大きな事故等で一度に複数のクレームが発生する場合を考慮したモデルであり、過去のデータにもとづき、災害や事故の損害額を予想するのに非常に有用である。(直接に事故や災害の発生日時や規模を予想するものではなく、事後の損害額の予測であることに注意されたい。) このモデルの予測に関して、解析的に取り扱い可能な計算方法が得られたので,その結果を「南山大学経営研究センター、ワーキングペーパーシリーズ」で公表し、公に議論できるようにした。さらに広く認知されるように海外の雑誌に投稿した。しかし、改良すべき点を指摘され棄却された。そこで、更なる改良を考え、より効率的に損害額を計算する方法を思いついた。具体的には、損害額の予測量の計算には数値積分が数回のみ必要で、その他の計算は再帰的なアルゴリズムで効率的に行えるというものである。論文を改定しなおし再び投稿をめざしている。研究目的の2つめは、研究中なので完成するまでは情報の保護のため詳しく述べることはできない。しかし、現在計算を着々と進めている。 さらに、雑誌論文欄にある査読付きの2本の論文を発表することができた。ポアソン・クラスターモデルに具体的な分布や確率過程を与えるとモデルの分布族が定まる。2本の論文は、ポアソン分布を含むより大きな無限分解可能分布に関して、分布族の性質や関連する確率過程の性質を調べたものである。これらの研究結果は、ポアソン・クラスターモデルの分布族の性質を研究するのに役立つものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の研究は、既に科学研究費補助金が得られる前(2011年度春)から開始していたため、その成果が現在論文として得られつつある。また、新しく提案した方法に関しても大分計算を進めることができた。さらに、大学の授業期間外をうまく利用し海外を訪問し、研究課題に関連する研究を新しく始められた。以上から研究の進捗状況は順調と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
現在の推進方策を踏襲していけば研究成果が得られるので、特に何かを変える必要ない。得られた成果は論文にまとめ出版し、引き続き研究する。
|