研究課題
研究の目的はポアソン・クラスターモデル(以下PCMと略)を改良・拡張することで、大規模化する災害と付随する損失を適切に表現しうる確率モデルを構築することであり、以下の2点が研究計画の柱であった。(1)拡張されたクレームの同時到着を許すモデルの性質を明らかにする。特に統計量(期待値、分散、条件付き確率等)の解析的表現が得られないか考える。次に予測量と予測誤差を測る基準を導出しその解析的表を考える。万が一表現が得られなかった場合は数値計算の負荷を抑えるような工夫を考え、予測量等を効率的に計算する方法を確立する。(2)クラスター過程に2次モーメントを仮定しない場合の評価方法を考える。方法としてはα次絶対モーメント(0<α<2)を用いるものが考えられる。解析的に表現することは難しいと予想されるが、まずは、確率分布を工夫することで誤差の解析表現を試みる。これらを踏まえ研究実績を以下に述べる。(1)に関して。前年度に投稿し却下された論文の内容に対して、より効率的に損害額を計算する方法を考え出しその方法を付け加えた。内容は損害額の予測量の計算には数値積分が数回のみ必要で、その他の計算は再帰的なアルゴリズムで効率的に行えるというものである。そして論文を再投稿した結果、論文掲載に至った。(雑誌論文1参照)更に非斉次的なクラスター過程を用いた場合にも予測量と予測誤差の解析表現の導出に成功した。(2)に関して。PCMを考える前に、まず一般の分布でのモーメントの計算方法の研究を行った(海外での共同研究)。それは特性関数をフラクショナル微分して絶対モーメントを求めるという方法である。いくつかの例に関しては、特殊関数を用いて解析的な表現を得ることができたが、多くの場合には数値計算が必要になりそうなことも分かった。今後本年度に得られた結果を論文にまとめる予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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SACT: Scandinavian Actuarial Journal
巻: online ページ: 1-31
DOI:10.1080/03461238.2013.773938
Bernoulli
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Nanzan University Center for Management Studies, Working Paper
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