本研究では、"極小規模離島村"をフィールドとした実践的研究を行い、そうした地域にとって望ましい博物館活動のあり方についてのモデルの提示を目指した。住民の誇り・アイデンティティの回復につながる埋もれた文化資源の掘り起こしや、それらの意義づけなどを住民と協同で実施し、住民自身による広義の博物館活動を持続的に維持するためのモデル構築を特に目標とした。本研究での活動を通じて文化財や歴史に多くの住民が関心を持つようになり、住民側から活動の具体的な提案を受けるまでに至ったことが、アンケート調査結果からも住民の様子からも看取できた。文化財から地域の歴史を復元し、住民がその歴史に誇りをもつ過程を記録・分析することができ、文化財の新たな活用法、博物館建設が不能な地域における新たな博物館活動のあり方が提示できた。
|