研究課題/領域番号 |
23800074
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
中江 悟司 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 特別研究員 (80613819)
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キーワード | 発育発達 / 低身長 / 医療・福祉 / 栄養学 / 二重標識水法 / エネルギー消費量 / 身体活動量 |
研究概要 |
健康のために必要なエネルギー摂取量は、食事摂取基準により定められているものの、同基準は健常者のみのデータに基づいて策定されているため、必ずしも障害や疾患を有する対象に適切かどうかは不明である。さらに、同基準における小児のエビデンスは非常に少なく、策定資料となる小児のエネルギー消費量に関するデータは、その測定の困難さゆえにほとんど見当たらない。そこで本申請課題では、エビデンスの少ない3~5歳の障がい・疾患を有する小児、中でも安静時代謝量の亢進が疑われる低身長児および健常児を対象に、エネルギー消費量評価においてもっとも信頼性の高い二重標識水法を用いてエネルギー必要量を明らかにすることを目的とした。 平成23年度においては、承認後すみやかに調査に向けた調整と準備に取りかかった。幼児を対象に二重標識水法を用いた調査は少なく、さらに低身長児も対象に含まれるため、測定実施に向けて慎重な検討と周到な準備を行った。低身長児における測定は対象者の通院する病院の医師および管理栄養士と打ち合わせを行い、二重標識水法および基礎代謝の測定法についてはこれらの測定手法に精通している研究者の協力を得て実施した。 15名(低身長児10名、健常児5名)の測定を実施し、そのうち11名分(低身長児10名、健常児1名)の安定同位体比分析を終えた。低身長児10名の総エネルギー消費量は1127±181kcal/day(平均±標準偏差)であり、これは食事摂取基準において推奨される摂取エネルギーよりも約10%高値であった。すなわち、低身長児を対象に同基準を用いて摂取エネルギーを提案した場合、エネルギーの不足を引き起こすことが示唆される。しかしながら、助成期間途中の少数例での結果であり、今後例数を増やした上で慎重にデータを解釈することが求められる。本研究より得られたデータは、食事摂取基準の改定および活用を通して国民の健康に寄与することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の当初計画として低身長児集団および健常児集団を各10名程度の測定を行うが、安定同位体比の分析には時間がかかるため得られた検体の分析は平成23年度末か平成24年度に行う予定であった。実際には低身長児集団10名、健常児集団5名の測定を行い、その後すみやかに安定同位体比の分析が実施できたため、15名中11名の分析まで終了した。測定予定人数であった20名よりやや少なかったものの、安定同位体比分析が予定よりも進行したため、当初の計画のとおりおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
特に健常児集団の対象者数を増やすため、幼稚園および保育園に協力を要請し、研究への理解と同意が得られた児童本人および保護者に依頼し、測定を実施する。昨年度収集済みの検体と合わせ、安定同位体比分析後すみやかに結果をまとめ公表する予定である。
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