平成23年度の研究では、運動強度の増大に伴い活動筋内の自由エネルギーは減少する事を報告した。平成24年度は、高強度負荷運動時に生じる過剰酸素摂取量と自由エネルギーの減少との関係に焦点をあてて実験を遂行した。 健康な成人男性10名を被験者として、MRI内と外で一定負荷動的膝伸展運動(実験1)および激強度前運動を伴う一定負荷運動(実験2)を行わせた。大腿四頭筋を被験筋とし、筋内のクレアチンリン酸(PCr)濃度、無機リン酸(Pi)濃度、pHをリン-磁気共鳴分光法(31P-MRS)で測定した。また、運動時の酸素摂取量は、MRI装置外で同様の実験を行わせ、breath-by-breath法で測定した。同時に、大腿四頭筋の活動度を表面筋電図より導出した。 実験1・2における運動6分目の自由エネルギーは、安静時と比べて減少しており、それに伴い過剰酸素摂取量は増大する傾向にあった。表面筋電図活動より導出した積分筋電値は、安静時と比べて運動6分目において有意な増大を示した。しかし、平均周波数は、両実験において、安静時と比べて減少していた。予め、活動筋内の代謝状況を変化させた実験2における一定負荷運動6分目と実験1を比較した結果は、自由エネルギーの減少の抑制、平均周波数の減少、積分値の増大を示した。 以上の結果から、高強度負荷運動時に生じる過剰酸素摂取量は、活動筋内のエネルギー効率の減少に関連する可能性が示唆された。
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