研究課題
平成23年度は、平成22年度末までに得た、アンゴラ出自集団の移動と生業変化に関する資料の分析をすすめた。その成果の一部として、庇護国での生活が長期化した農村に住む難民が実践的に構築する生計維持をアフリカ農民の視点から論考し、日本アフリカ学会、日本文化人類学会をはじめ、国際シンポジウムおよび国内研究会で発表した。これにより、国内外でいまだ研究蓄積の薄い農村に住む難民の生計維持を具体的事例から提示し、その長期的変化の諸相について「下からの」平和構築へ資するものとして公表した。また、これまでローカルコンタクトと調整をすすめてきたザンビアにてフィールドワークを実施して、紛争避難民に関する近年の移動と生業変化に関する補足資料を収集した。現在、ザンビアでは外国資本によるインフラ整備によって周辺国との経済流通がかつてないほどに活性化しつつあり、2000年より調査を継続してきた農村における経済的側面への影響が看過できない。そのため、今回は住民の生計収支に関わる農産物販売や生活様式の多様化に注目して調査をすすめた。さらにイギリスでは、アンゴラの政治経済、ザンビアの難民政策に関する文献資料をオックスフォード大学難民研究センターで収集した。帰国後は、収集した文献資料とあわせ、フィールドワークの結果について、総合的に考察をすすめ、アフリカにおけるポスト・コンフリクト国の周辺地域にある農村の動態に関する分析をすすめた。現在までに、学術雑誌「アジア・アフリカ言語文化研究」や「アジア・アフリカ地域研究」へ学術論文を投稿するため準備をすすめている。
1: 当初の計画以上に進展している
ザンビアおよびイギリスでの調査がそれぞれ順調にすすみ、十分な研究資料をえることが可能となったため、アフリカの紛争後社会における「下からの」平和構築に貢献する具体的資料の提示の点で当初想定していた以上の成果が達成されている。
今後は23年度に得た研究資料の分析をさらに深め、ザンビア西部農村におけるアンゴラ出自集団の生計活動のさらに今日的な状況を明らかにする。そして学術雑誌への投稿を果たし、本研究のめざすアフリカの紛争後社会における「下からの」平和構築の在り方に資する理論および事例の提示を達成する。
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フィールドプラス
巻: 7 ページ: 20-21
生態人類学会ニュースレター
巻: No.17 ページ: 6-9
proceedings, Internatinal Symposium, THE DYNA MIES OF SOCIOECONOMIC CHANGES IN LOCAL SOCIETIES IN SOUTHERN AFRICA : THE CHALLENGES OF AREA STUDIES
ページ: 16-20