研究概要 |
本研究は,スノウドリフトの影響による三次元不同圧密沈下定量予測モデルの構築することを第一の目的,平成24年度・第54次南極観測隊に参加して,ドームふじ基地における現地観測によって構築したモデルに必要な雪氷物性値を測定することを第二の目的である. 第一の目的については,氷粒子骨格構造特性を密度,氷粒子の結合強さと焼結性能を温度によって,それぞれ代表して,さらに時刻硬化の影響を考慮した修正Maxwellモデルを構築した.数値解析モデルの構築はABAQUSによって行われた.構築された数値解析モデルは,新潟県塩沢において採取した雪供試体の時刻硬化現象を再現することができた.また,圧縮・伸長方向に関して大きな異方性を持つことが示された.以上の研究実績を,平成23年9月に開催された雪氷学会全国大会において発表した. 第二の目的に関しては,申請書記載内容に基づき,現地観測機材の購入を進めた.次年度は観測機材の設定・整備を推進して,第54次南極観測隊における現地観測を遂行する.
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今後の研究の推進方策 |
スノウドリフトの影響による不同圧密沈下予測を行うためには,物性値,境界条件として,雪の物理的性質,建物周辺の吹きだまり性状を把握する必要があるが,それらは気象条件などの地域性が非常に大きい. 昨年度に申請した笹川科学研究助成「力学的アプローチによる南極内陸部・雪氷基盤表層部の物理特性の解明研究」と防災科学研究所雪氷防災研究センター新庄支社の回流型低温風洞装置の利用申請がそれぞれ採択されたため,ドームふじ基地における地域性を反映したデータを獲得して,構築した数値解析モデルを発展させる予定である.
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