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2011 年度 実績報告書

古文書からみる日本語史-方法論の開拓と展開

研究課題

研究課題/領域番号 23820014
研究機関東京大学

研究代表者

永澤 済  東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (50613882)

キーワード日本語 / 言語 / 日本語史 / 古文書 / 文法
研究概要

古文書は、文学作品等と比べ、日本語史資料としての研究が遅れている。本研究は、実用書記日本語の一級資料でありながら、日本語研究の資料として用いられることが少なかった「古文書」による日本語史研究を企図するものである。
本年度は、古文書のなかで、特に日本式漢文の分析に重点を置いた。瀬野精一郎編纂『鎌倉幕府裁許状集』におさめられた裁許状を一通ずつ読み進め、文法や語彙に関する分析を進めた。日本式漢文において独自に発達した助動詞「令」、補助動詞「置」の用法について、共起動詞や表す意味を詳細に調査し、その用法や機能を明らかにした。また、日本式漢文の統語構造(連体修飾構造、副詞の連用修飾のパターン、主語・目的語の取り方、前置詞〔「於」「為」「以」等〕の用法、「[名詞]有之」の「とりたて」用法、等)について分析を行い、成果を得ることができた。以上について、論文として発表するべく準備を進めている。
あわせて、日本で独自の発展を遂げた漢文(日本式漢文)が、近代にいたるまでどのように変遷したか、またその過程で、日本語の口語とどのように関わりあっていたのか、という観点からも研究と資料収集を進めた。
また、古文書資料の収集とその言語学的利用法の開拓という観点から、沖縄・北九州にて調査を行い、琉球における言語接触・庶民の言葉に関する有益な資料を得ることができた。同じく、ドイツのボン大学にて資料を閲覧し、近代に日本から渡った文献資料の中に、書かれた当時の口語を反映する興味深い資料が存在することがわかった。
科学研究費補助金は、主として以上の調査と資料収集のための図書・資料の購入費および旅費として利用した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

古文書にみられる日本式漢文の文法に関して、申請書記載の分析を進め成果を得られた。それらを論文として公表すべく、準備を進めている。日本式漢文が中世以降、色々に形を変え、近代にいたる過程についても分析を進めることができた。また、古文書資料の収集とその言語学的利用方法の開拓という点においても、成果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

日本式漢文(変体漢文)の文法に関するこれまでの研究成果を論文として公表する。これまで分析してきた古文書と、それらとは異なるジャンルの実用初期言語資料との比較を行う。書き手の階層や学問等の社会的背景と、資料に表れる語彙・文法・文体との関連についての研究を行う。引き続き、古文書を日本語史の資料としていかに位置づけ、利用できるのかその方法を開拓し、資料の収集を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 漢語「-な」型形容詞の伸張-日本語への同化-2011

    • 著者名/発表者名
      永澤済
    • 雑誌名

      東京大学言語学論集

      巻: 第31号 ページ: 135-164

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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