古文書は、文学作品等と比べ、日本語史資料としての研究が遅れている。本研究は、実用書記日本語の一級資料でありながら日本語研究の資料として用いられることが少なかった「古文書」による日本語史研究を企図した。主に中世古文書を資料とし、日本語学・言語学の枠を越え学際的に研究を進めた結果、その統語的特徴(語順・修飾構造等)や助動詞の用法等を明らかにすることができた。部分的ではあるが、正格漢文との異同についても分析し成果を得た。それら一連の研究をふまえ、古文書を日本語史研究に活用する方法と可能性についても考察を進めた。
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