本研究は、地域社会の持つ社会的特質、すなわち社会的地域性が生み出す言語的発想法と運用意識を明らかにし、それが言語表現や言語行動といった現象面にどう反映しているかを究明することで、日本語方言の形成を言語外的側面から明らかにすることを目的としている。 従来、社会との関係に着目した方言形成論は、社会構造という社会のハード面に着目し、それが名称に反映された親族語彙などの一部が対象とされてきたが、本研究では、社会構造が生み出す言語環境や行動規範が、言語の発想法や運用意識にどう影響するかという、社会のソフト面にも積極的に着目している。 当該年度は、昨年度に引き続き、言語的発想法を反映させやすいと考えられる言語分野の中でも、とりわけ学界でも未開拓の分野である感動詞を対象とした研究を行った。具体的には、既に全国の市町村を対象に実施した通信調査の結果を整理し、電子的に取り扱うことを可能にするデータベース化の作業を完了した。これにより、地理的傾向を把握するための方言分布図や、計量的データの作成が可能となった。この結果の一部については、既に日本語学会のシンポジウムで発表済である。
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