研究課題
本研究の、単独では非文(あるいは容認されにくい)と判断されるにもかかわらず、適切な文脈に生じれば容認されるという振る舞いを示す「語用論的動機付けを必要とする構文」の振る舞いに原理的説明を与えるという最終目的を達成するため、平成24年度は、当該構文とトピックとの関わりについての記述的研究を行うことを目的としていた。そのため、研究実施計画ではトピックについての先行研究の調査をし、語用論的動機付けを必要とする構文の一般化を十分説明するものがあるか否かを判断すること、また、先行研究に問題がある場合はそれを指摘し、解決する方策を探ることを中心に行うこととしていた。しかし、実際にはトピックについての研究が進まず、研究が当初計画通りに進まない時の対応として考えていた、語用論的動機付けを必要とする構文の中のひとつであるcause使役受身の詳細な分析を行った。「受身文と共起するby句は動作主を表す」ということが従来当たり前のように言われてきたが、cause使役受身と共起するby句は動作主ではなく理由や原因を表しているといえ、この振る舞いから受身文と共起するby句の意味役割についての研究に取りかかった。この成果の一部として、by句はもともとは理由や原因を表し、動作主の意味が出てきたのは14世紀以降であるという歴史的事実を挙げながら、従来の前提を見直す余地があることを指摘し『東邦大学教養紀要第44号』に発表した。またこの研究を発端とし、語用論的な観点から意味役割の区分と文法の関わりの一端を明らかにすることを目的とした研究で平成25年度からの科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)若手研究(B)に応募し採択された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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東邦大学教養紀要
巻: 44 ページ: 45-54
Proceedings of World Conference on E-Learning in Corporate, Government, Healthcare, and Higher Education
巻: 17 ページ: 1210-1215