本研究は、植民地支配の構造、特にその本質である暴力性が発動する過程を、植民地権力と在地社会との支配の合意調達をめぐって生じる葛藤に着目することで、動態的に検討しようとするものである。その際特に、朝鮮民族と共有しうる政治文化の創出が模索されたと見なすことが可能な「文化政治」という植民地統治形態を取り上げ、支配のヘゲモニーをめぐる植民地権力と在地社会との対立・「協力」関係を考察する中で、植民地権力の支配政策と、それに対する朝鮮社会の動向とをあわせて検討し、そこで生じている排除の構造=暴力発動の契機について考察した。
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