研究課題/領域番号 |
23820072
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
塚本 章宏 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (90608712)
|
キーワード | 歴史地理 / 近世 / 京都 / 産業構造 / GIS / 諸師諸芸 / 諸職名匠 |
研究概要 |
本年度は、「諸師諸芸・諸職名匠GISアトラス」構築のための基盤整備を中心に、計画に基づいて実施された以下の2つの成果を挙げることができる。 1、京都府立総合資料館に所蔵された地誌・案内記のデジタル画像データベースの構築 立命館大学アート・リサーチセンターの協力を得て、京都府立総合資料館に所蔵された地誌・案内記についてデジタルアーカイブのための撮影から始め、デジタル化された地誌・案内記の画像データを、インターネット上で検索が可能な「京都地誌データベース」として公開した。一方で、京都府立総合資料館に所蔵されていない年次の、地誌・案内記についての調査も進めた。具体的には、西尾市岩瀬文庫、カリフォルニア大学東アジア図書館、立命館大学アート・リサーチセンターなどである。こうした他の研究機関に所蔵されている資料を補完することで、できるだけ多くの年次の地図を作成できるように努めた。 地誌・案内記は、影印本や翻刻本で閲覧可能なものもあるが、それらに掲載された年代以外にも多くの資料が所蔵されていることが確認できた。本研究において作成されたデジタル画像データを整備・公開したことで、京都の産業構造をはじめとした関連する研究分野において、有用な基礎資料として意義のある成果を提示できたと考えられる。 2、GISを用いた分析を実施するための近世期京都における地理情報基盤の整備 近世期の京都をGISで分析するために、複数年次のGISデータが必要である。そこで、近世期に作成された測量図として著名な中井家系統の絵図を用いたデータ整備を進めた。その際絵図の精度を把握した上で、土地利用データを作成する必要があり、それら絵図の地図としての精度を検証を行った。一方で、地誌・案内記に掲載された諸師諸芸・諸職名匠の住所情報をGISデータとして整備するため、1)におけるデジタル画像を基に、翻刻してエクセルへの入力作業も並行して行った。本年度の作業はおおむね完了しており、2年目に予定されているGISデータとの結合が可能な段階まで進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、京都府立総合資料館に所蔵された近世期の京都の諸師諸芸・諸職名匠に関わる地誌・案内記についての、デジタル画像データの作成とインターネットでのデータベースの公開を行った。また、GISを用いた分析を実施するための、空間基盤データの整備と諸師諸芸・諸職名匠の住所情報データベースの作成を進めており、全体として、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の対象資料である地誌・案内記は、本年度の取り組みにより、デジタル画像データとしてインターネット上に公開されているため、各画像ページのアドレスにリンクさせる形で、インターネット地図と連携させること可能である。2年目は、それらの画像データを地理的インデックスで整備・リンクさせる作業を行い、「諸師諸芸・諸職名匠GISアトラス」構築を目指す。また、こうして構築される諸師諸芸・諸職名匠に関する時空間的な情報からは、近世期京都の産業構造の変遷を把握することが可能であると思われる。これまで特定の年次を取り出して分析していた先行研究に対して、新たな知見を通時的な視点から付与することができる考えられる。
|