本研究の目的は、第1に、近世京都の「諸師諸芸・諸職名匠GISアトラス」を構築することである。第2に、このGISアトラスをもとに、近世京都の産業構造と都市基盤の変遷過程を時・空間的に明らかにすることである。GISアトラスとは、近世京都の地誌・案内記類に記載されたあらゆる職種に関する人物・住所情報についてのデジタルアーカイブデータ(画像・テキスト形式)と、地理情報システム(GIS)の管理・分析機能とを統合したものである。そして、近世期の産業構造とそれを支えた都市基盤が、GISで統合されたあらゆる職種の情報を地図化することで、包括的に把握できるものである。また本研究は、GISを援用した新たな歴史地理学の方法論を提起しつつ、海外において定着した「HistoricalGIS(歴史GIS)」の促進・普及に寄与するものであると考えられる。
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