研究課題/領域番号 |
23820074
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
中野 徹 近畿大学, 文芸学部, 講師 (20610512)
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キーワード | 中国文学 / 中国現代文学 / 連環画 / 中国美術 |
研究概要 |
平成23年度は、当初予定していた発表報告はできなかったが、日本国内における連環画に関する調査を着実に行なった。具体的な成果としては、国立国会図書館関西館所蔵の上海新華書店旧蔵書の連環画の調査が挙げられる。同館の連環画コレクションは、中国古典文学、現代文学、ソ連の文学作品の改編作など、中華人民共和国成立以降の、さまざまなジャンルの連環画が4000点以上にものぼる。国内はもちろん中国においても、これほどの数の連環画を所蔵する機関は見当たらない。また、これほどの蔵書を有しながら、その存在はあまり知られていない。同館所蔵の連環画の調査はまだ始まったばかりであるが、今後、さまざまな研究において新資料としての活用が期待される。今年度行なった調査をもとに、同館のアジア情報研修において、報告者は、「上海新華書店旧蔵書について-連環画を中心に」(2月15日)と題した講演を行い、またそれをもとに、「上海新華書店と中国の連環画」(『アジア情報室通報』第10巻第1号、2012年3月)を発表した。これらはいずれも連環画の資料価値の概説的なものであり、基礎的研究の一端である。より精緻な資料分析を行いたい。 また、3月には中華人民共和国の上海図書館(上海市)と国家図書館(北京市)を訪ね、1950年代の連環画出版社および連環画作家に関する調査を行なった。ここで収集した資料を着実に分析・消化したうえで、来年度の研究に結実させたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料収集と研究報告はおおむね順調に進んでいるが、今後、より精緻な資料分析を行い、それをもとにした論文に結実させたいから。
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今後の研究の推進方策 |
連環画は膨大な数の資料を分析しつつ、それをとりまく出版界や美術界の関係者を今後も分析する。今後の連環画研究の基礎となる目録作りも同時に進める必要性を感じている。
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