本研究では、中華人民共和国における重要なメディアのひとつである連環画について、1950年代の中国の連環画に関する資料調査およびその分析をおこなった。 最終研究年度である平成24年度は、科学研究費補助金を利用して、1950年代に刊行された『連環画報』(1951-1960)の復刻版を購入し、その読解・分析を進めるとともに、前年度に引き続き、国立国会図書館関西館の上海新華書店旧蔵書の連環画コレクションの調査、および雑誌『美術』における連環画関連の記事を収集・分析した。それらの成果として、近現代戦の表象比較研究「戦争のメモリー・スケープ」(2012年7月15日)と中国文芸研究会11月例会(2012年11月25日)において報告を行なった。また、2013年3月には、中国上海図書館において文献史料の収集をおこない、上海市档案館においても、連環画出版の中心的役割を果たした上海人民美術出版社に関する調査をおこなった。 本研究期間を通じて、論文として発表できたものは多くはないが、档案資料をはじめ、今後の研究につながる連環画に関する資料を多く収集することができた。連環画は、同時代のプロパガンダの媒体である年画や宣伝画や幻灯などとの関連性もある。連環画のみならず、中国の1950年代のメディア研究に発展させ、今後も分析を進めてゆく予定である。これらの成果は、『連環画研究』などの誌面で公開してゆく予定である。
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