研究課題/領域番号 |
23820079
|
研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
徳永 美紀 九州産業大学, 語学教育研究センター, 常勤講師 (30461479)
|
キーワード | メタ言語 / 文法用語 / リメディアル教育 / 明示的知識 / 項目応答理論 |
研究概要 |
近年、大学生の英語力低下が懸念される中、英語リメディアル教育の必要性が高まっている。しかし、一般的な英語能力試験では、初級レベルの学生はほとんど不正解という場合も少なくなく、「全体と比較して習熟度が低い」という以外の情報は得られない。本研究は、こうした学生が英語学習に必要な用語(メタ言語)などの基礎知識をどれだけ理解できるのかを測定しようとするものである。初級レベルの英語学習者の基礎知識をより細かく把握し、教材作成や授業改善に反映させることを目標としている。 本研究は、先行研究をもとに作成、実施したパイロットテストを、対象者の人数、および習熟度レベルを広げて拡張したものである。23年度は、まずテストの修正、改良を行った。改良点は大きく分けて2種類あり、パイロット研究でほぼ全員が正解した項目を削除し、少し難易度の高い項目を増やことで難易度を調整したことと、パイロット研究の学会発表で得られた指摘点、疑問点を改善する為の項目を増やしたことである。採点の利便性を考慮し、テストはマークシート方式の選択問題としたが、通常のテストのように4択に止まらず、例えば品詞の問題であれば基本的な品詞全てを選択肢に設定した。 テストは、23年度後期の後半に、1、2年生対象の英語の授業37クラスで実施し、705名のデータを得ることができた。データはRemarkOfficeOMRを使用して集計し、Winstepsで分析した。簡易分析では、Winstepsで得られた学習者能力と英語習熟度テスト(TOEIC Bridge)のスコアにある程度の相関関係が認められ、中でもリーディングセクションとの相関関係が一番強い(r=.66)という結果になった。今後、さらに項目および対象者分析を行ってmisfit(回答パターンがおかしい)項目や対象者を除去するなどの作業を行うことで、より正確なデータを出していく必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テストの実施時期が後期であったことで、2年生の英語受講者が前期よりも著しく少なく、実施したクラス数に対しての学生数が当初予定していたよりも少なかった。しかし、簡易分析ではテストの信頼性に問題ないという数値が出ており、データ量としては十分であるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度は、集計したデータの分析、および結果の学会発表、論文発表を行っていく。さらに、研究者代表者の所属大学異動に伴う学生の変化に対応するために項目を増やしたテストを実施し、そのデータも結果に反映させていく。
|