研究課題/領域番号 |
23830012
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
今泉 飛鳥 埼玉大学, 経済学部, 講師 (60613461)
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キーワード | 日本経済史 / 産業発展 / 都市 / 産業集積 |
研究概要 |
本研究の目的は、都市の存在が日本の産業発展に与えた影響を解明することである。日本経済史学では1920年代以降の都市化が言及されるが、人口の増加、消費生活の変化に着目することが多く、産業発展に対する都市の役割は説明しきれていない。従って本研究では、都市内の産業立地と人的ネットワークの関係を多面的に実証する。平成23年度は主に資料収集とサーベイに重点をおいた。また成果の一部を国内学会で発表することや、投稿の準備、国際学会へのエントリー等を目指した。その結果は以下の通りである。1、政治経済学・経済史学会秋季学術大会において、「明治日本における特許権所有者の地理的分布」と題した発表を行った。これは1885~1908年の『特許発明分類総目録』及び「特許明細書」を用いて、特許権者の地理的分布から企業家の偏在やそのネットワークを描出したものである。2、24年度夏の世界経済史学会(World Economic History Congress)及びヨーロッパ経営史学会(European Business History Association)での研究発表のアクセプトを受け、その準備を進めた。前者では関東大震災により都市機械関連工業が蒙った影響を、復興需要の分布等から分析する。また後者では上記特許権所有者の分布を、構築中のデータ(後述)を用いさらに掘り下げる。3、上記特許権者についてのより精緻な分析のため、1885~99年の「特許明細書」の包括的なデータ入力に取組み、8割方終了した。4、3月にロンドン(London Metropolitan Archives他)で技術教育などに関する資料の収集を行った。また、合わせて上記国際学会で共に研究発表を行う研究者等との情報交換も行った。5、都市史、経済地理学、ネットワーク論などのサーベイを進めた。この結果は24年度に学術論文として投稿予定である。(799文字)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に目標としていた国内学会発表及び24年度国際学会へのエントリーを行い、後者に向けての発表準備も計画通り進行中である。また、資料収集及び「特許明細書」のデータ入力作業も順調である。これまでの成果への加筆修正作業については、投稿手続きには至っていないが、十分なサーベイを行うことができたため、24年度に投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、23年度におけるデータ収集・構築及びこれまでの成果の見直しを踏まえ、2つの国際学会での研究発表及び国内外の学術誌への成果のアウトプットに注力する。 ◎6月ごろまでにデータ構築を完了する。 ◎2つの国際学会(7月及び8月末~9月初)での成果発表を行う。 ◎順次、学術誌や紀要等への成果の投稿を行う。
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