研究課題
本研究の目的は、市町村合併後に、地方部の都市に起こった生活構造の変化を前提としつつ、新たなコミュニティの形成に向けた生涯学習の役割を明らかにすることにあった。具体的な計画としては、(a)公民館や集会施設を中心とした「場」の機能の再評価、(b)市町村合併を経て再編が進む、地域諸団体についての調査・分析、(c) 地域住民の関係を取り結ぶコーディネーターや中間支援者の役割の理論化、 (d)共通の規範や文化の創出の過程について、ナラティヴ・アプローチに基づいた分析を行うことを挙げた。(a)(c)については、平成23年度に一定の進捗が見られたため、本年度は(b)(d)を中心に研究を進めた。第1に、長野県飯田市、石川県内灘町において、地域活動と社会的ネットワークに関する調査を実施した。それぞれの調査結果については、研究室の教員・院生と共同でその成果を公表するとともに、飯田市では住民に対する分析結果のフィードバックを行った。また、コミュニティと公民館、学校-地域間連携に関する政策の動向の記述と、先行研究の整理を行い、著書、論文等を執筆した。第2に、地域活動への参加の機制について、国立教育政策研究所の実施した調査の分析、ISSPや、JEDS、JGSSといった大規模社会調査の2次分析を行った。この結果、従来の町内会や地縁的な団体に加えて、サークルやグループ、NPOの役割が高まりつつあることを明らかにした。第3に、コミュニティを対象とした、成人学習理論の整理を行った。具体的には、成人学習へのナラティヴ・アプローチ、サービス・ラーニングについての訳書の刊行に携わった。以上の調査研究を通じて、住民が地域活動への参加を通じて、地域の「関係性」の編み目に入っていくためには、地域の様々な団体の有機的な結びつきと、「関係性」を編むためのコーディネーターの配置が政策課題になることが示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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