1960年代のイギリスでは、戦後の経済成長と豊かな社会を背景に、人びとの価値観や規範が多様化し、寛容な社会が出現した。本研究では、そうした社会変化を後押しした一連の寛容化の立法改革をめぐる政治過程を考察し、それらの改革がどのような政治勢力によって推進され、またどのような政治構想にもとづいて追求されたのかを考察した。改革を推進した保守党内の進歩的保守派と労働党内の修正社民派の政治構想を検討することで、寛容化の改革が、戦後の福祉国家建設のつぎの段階に取り組むべき課題として実行されたことを明らかにした。
|