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2012 年度 実績報告書

非上場化取引におけるフェアネス・オピニオンの意義と取締役の責任

研究課題

研究課題/領域番号 23830027
研究機関金沢大学

研究代表者

永江 亘  金沢大学, 法学系, 准教授 (20610786)

研究期間 (年度) 2011-08-24 – 2013-03-31
キーワード企業買収 / 会社支配権取引 / 専門家の意義
研究概要

米国の学説では、初期段階における肯定派と否定派の議論を経て、現代的には会社支配権取引の取引態様によって、フェアネス・オピニオンの意義が異なるとの理解が示されている。他方で、米国での主たるフェアネス・オピニオンの発行主体である投資銀行は、評価上の裁量及び株主との利益相反的なインセンティブ構造から、当該取引の成立に有利な意見を作成することへのインセンティブが懸念されている。これらの解決につき、セカンドオピニオンの取得や裁判所ないしは自主規制機関によるガイドラインの作成による規律付けが示されている。我が国では、近時会社支配権取引における取締役の責任を追及した事例において、フェアネス・オピニオンの取得が、取締役の責任を否定する根拠の一部として用いられている。即ち、我が国の裁判所は、学説の示す通り取締役に直接に株主に対する直接の義務ないしは責任を負わせているかは明確ではないが、少なくとも会社支配権取引において、公正な価格決定プロセスの履践を要求していると思われ、フェアネス・オピニオンはこれを支える一要素として理解されていると評価できる。しかしながら、現在の裁判所の対応は、米国において指摘される、正・負の評価をしているとはいえず、フェアネス・オピニオンが有する準規範性を、裁判規範に高めるまでの条件を示しているとまでは言えないことが明らかとなった。従って、本研究により、意見を提供する専門家の意見の妥当性審査と独立性の確保が必要とされるという課題を残しながらも、取締役の責任を否定するための装置としてのフェアネス・オピニオンは我が国の取締役責任の法理に照らしても、一応は有効であると評価できることが、明らかとなったといえる。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 少数派株主の締出し取引における外部機関の意見について2013

    • 著者名/発表者名
      永江 亘
    • 雑誌名

      私法

      巻: 75 ページ: 未定

  • [雑誌論文] 我が国におけるフェアネス・オピニオンの位置付けと法的問題点(1)2012

    • 著者名/発表者名
      永江 亘
    • 雑誌名

      金沢法学

      巻: 55(1) ページ: 31-61

  • [学会発表] 少数派株主の締出し取引における外部機関の意見について2012

    • 著者名/発表者名
      永江 亘
    • 学会等名
      日本私法学会
    • 発表場所
      法政大学(東京都)
    • 年月日
      20121021-20121021
  • [学会発表] 少数派株主の締出し取引における外部機関の意見について

    • 著者名/発表者名
      永江 亘
    • 学会等名
      京都大学商法研究会
    • 発表場所
      京都大学(京都府)
  • [学会発表] 少数派株主の締出し取引における外部機関の意見について

    • 著者名/発表者名
      永江 亘
    • 学会等名
      神戸大学商事法研究会
    • 発表場所
      神戸大学(兵庫県)
  • [学会発表] 少数派株主の締出し取引における外部機関の意見について

    • 著者名/発表者名
      永江 亘
    • 学会等名
      金沢大学民事法研究会
    • 発表場所
      金沢大学(石川県)
  • [図書] 新・アメリカ商事判例研究【第2巻】2012

    • 著者名/発表者名
      近藤光男
    • 総ページ数
      89-97, 120-127, 191-199
    • 出版者
      商事法務

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公開日: 2014-07-24  

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