研究課題/領域番号 |
23830028
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三浦 優生 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (40612320)
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キーワード | 自閉症 / プロソディ / アイトラッキング / 社会的参照 |
研究概要 |
英国で開発されたPEPS-C、日本語における事例報告、その他言語学関連の文献資料を参考に、日本語のプロソディーの特徴を取り込みながら、評価項目を抽出した。感情価、意味弁別、統語マーカー、対照・強調などが項目として挙げられたが、過去の多くの報告を占める英語には存在しないピッチアクセントなどについても、今後の検証項目として整理された。 プロソディーの表出面を検証するために、半構造化された場面におけるASD児の発話を記録し、その特徴を統制群と比較した。5歳~8歳のASD児、定型発達児が参加する。実験者が与える知識問題に対する、対象児の回答を記録し、発話における音響的特徴(ピッチ、ポーズ、潜時、持続時間)と正答率との関係を、群間で比較した。これまでの結果では、自閉症群では、文末のイントネーションの上下が正答率と相関が見られたが、内観による確信度の判断では、イントネーションと内観との相関が見られたのは定型発達群のみで、自閉症群においては相関が見られず、伝達的にイントネーションを また、プロソディーの理解面を検証する課題として、音声聴覚刺激に基づいて、対象物に目を向けるまでの反応を、プロソディーを実験刺激とした状況下で検証した小学校低学年のASD児、定型発達児が参加した。眼球運動追跡装置(Tobii Eye tracker)を備えたモニタに複数の画像(顔、モノなど)を呈示した。それに先行して与えられる音声聴覚刺激に基づき、対象画像を特定するまでの反応時間および注視時間を記録・分析した(Looking-while-listeningパラダイム)。データ収集は現在も継続中であるが、これまでの傾向としては、自閉症児はすばやい目の動きによって感情プロソディーから対象物(顔、モノともに)を特定することが難しいこと、また、より遅延的な指さしでの回答では、感情プロソディーと顔とのマッチングにおいて正答率が上がることが明らかになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画された課題の多くは実施に至っているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、すでに進行中の課題については、追試と分析を重ねて論文化の作業へと移行する。未実施の課題については、24年度夏を主な期間とし、あらたなデータ収集を行うものとする。
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