研究課題/領域番号 |
23830029
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
隼瀬 悠里 福井大学, 教育学研究科, 特命助教 (90611773)
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キーワード | 教師教育 / 教員養成 / フィンランド |
研究概要 |
知識基盤社会のなかで、「学びの専門家」として生涯にわたって力量形成に取り組む教師が求められている。そして、高度な専門職として教師を養成することは我が国では喫緊の課題となっており、先進国では大学院段階の教員養成が潮流となりつつある。本研究では実践の主体である教師が実践研究者として絶えず実践を振り返り、改善に努めることを支援する教師教育の在り方について比較考察することを目的とする。約30年以上にわたって初等教員も含めて修士レベルで教員養成をおこなっているフィンランドを主な研究対象として、教員養成における実践の位置づけ、および学生の実践研究へのアプローチの方法について分析するとともに、それを支える要因についての分析をおこなう。そして、日本との教員養成制度、採用システム、研修制度等の相違点をふまえて、これから求められる実践研究者としての教師教育の在り方を考えるための課題を明らかにする。 平成23年度は基礎研究を中心に進めることを目的としたため、フィンランドにも影響を与えたL.ステンハウスによる「実践研究者としての教師」論がいかにして展開されたかについての考察をおこない、論文として研究発表をおこなった。また、フィンランドにおける実践研究者としての教員養成制度や教育内容の特徴について学会発表や図書での分担執筆において研究成果の発表をしている。これらの研究によって、教師自身によるカリキュラム開発の重要性、そして実践を通して教師自身の成長も視野に入れる必要性を提起した。また、3月にはヘルシンキ大学で大学教員や学生に対してのインタビューもおこなっており、実践研究者としての教師教育についての考察をおこなうためには来年度に教育実習についても重点的に調査を実施する必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実践研究者としての教師教育を比較考察するための分析枠組みに関する基礎研究は順調に進めることができたが、当初の計画で記載した「協働」の視点からは実践研究者としての教師教育について考察することができなかった。この点については次年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査からも着想を得たように、本年度は特に教育実習に焦点を当てて実践を研究的な視点でみるための実施形態と支援体制について考察する。また、生涯にわたる力量形成に関して、現職の教員がどのように教員養成における学びを活かしているのかについても養成と研修の接続性の観点からも考察する予定である。
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